『時空神子シリーズ』―華乱

□苦心の涙は、親心。
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ポロポロと彼の瞳から涙が零れ落ちてきた。止まる事を知らず、次々と溢れてくる。


「涙を流せるなら…上出来だね」


「……えっ」


「これから言う科白は、貴方を罵倒する言葉。イラっとしたら……反論してよ?」


「…」


ほら、僕は璃羅さんと従兄弟だし。
発する科白なんて大抵想像出来ると思うよ。神楽帝の血筋はね、負けず嫌いと強気な部分を引き継いでしまうらしいから。

あ。


美人と美形もだったや…

悲しい事に、下界へ行く前の自分が着けたドレスを思い浮かべちゃった。
あれだけは抹消したいな。

女物のドレスを着けたという事実を…


頭を横に振り浮かべた物を取り消す。


「…あ、あの…」


「あー…ごめん。余計な雑気が…」


口が裂けても言いたくないけどね。

おぞましいドレスが…
なんて。
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