『時空神子シリーズ』―華乱

□新月の闇は、灯の現…
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【艸波side】


璃羅を追い掛けていたが、何故かとてつもなく胸が締め付けられた。
この感じは昔にも味わった事のある感覚だから予想は出来る。


「神艸の試練が廻り始めた証拠か…」


自覚症状が皆無なままで、始まるとは思わなかったけど。行わせた人物は微かな笑みを湛えて歩いて来る。

先ほどまで俺が追い掛けていた妻だ。

ワインレッド色の髪が風に靡き、同色の双眸が此方を見ている。


「帰りましょうか。艸波様…」


「二人を例の場所に?」


「えぇ。二人共…天皿の上です。そのまま、楠野邸へ送りました…」


「強行手段もここまでいくと…天下一品だな。業っと俺に追い掛けられて」


これくらいは序の口だと言わんばかりの表情。二人を忘却の天秤に乗せるとは…
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