『時空神子シリーズ』―華乱

□華びら舞う、時空の悠久(前編)
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『雰囲気で察してもらえ』と言う親もどうかと思うが、少なくとも自分自身の知る者に彼みたいな御子を持つ者は該当しない。


「我が母こと、神楽帝 璃羅王から伝言です。『五日後に我が息子、楠野 神艸の婚約が決まり。数少ない者達を集め内祝いを兼ねています。冥界政府官房長官“カイラ”卿を含め、冥王“ギオン”王とその妻“末羅”王を黄泉の国、楠野帝にご招待致します』…との事です…」


「――…こ、婚約?」


「えぇ。どうしようもなくバカな兄も良い年齢で御座います。無論、本人は知りませんが…」


突然過ぎて何がどうなっているのか、混乱するカイラ。


「急な事で混乱しているでしょう。せめてもの詫びとして、良い事を教えましょう…」


ワインレッド色の双眸が細まると。


「盈華皇子は兄のモノになる事は一生あり得ませんので、ご安心を!!!」


「…なっ」


「クソが付く馬鹿で、ヘタレ野郎でも好いてくれる相手がいましてね。彼方は、直ぐに行動に移すでしょう…後は貴方様次第です。では…」
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