『時空神子シリーズ』―華乱
□華びら舞う、時空の悠久(前編)
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盈華!
ここは、きっぱりと。
「僕、天神界に戻ろうかと思います!!!」
「えっ」
黒燿石の双眸が大きく見開かれる。
「…そ、その…冥界じゃなく…天神界に?」
「――…はい」
「また…急に。何で?盈が本来棲む場所は冥界でしょう?どうして、天神界なの?」
それは…
冥界に戻ってしまえば、嫌でも彼と顔を合わす羽目になる。
出来れば僕は顔を合わせるのを避けたい。下界で十分に忘れる期間は得られた筈なんだけど…
あの日、あの瞬間に。
彼を映してしまったから。
忘れる時間が欲しくなったのが本音。
だけど、一番は璃羅さんに逢わなきゃいけない。
「下界の暮らしは僕も好きになりました。風羅さんが天神界に戻らず、下界に居るのは…天神界では味わえない空気なのかな?って思ったりします。僕もここの空気は好きです」