『時空神子シリーズ』―華乱
□試練は瑠璃色の雨として降る
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持久力を着けて走って来た璃羅により、俺は椅子から床に落ちた。
幼い頃ならまだしも。
成人した男に抱き着かれるのは色々と打ち所が悪くなりそうだ。
「り、璃羅…離れなさい」
「えーっ。つれないなぁ…母上は。折角、可愛い息子が里帰りしてきたっていうのに…」
ぷくっと、頬を膨らませる璃羅。
「いきなり走って、抱き着いてきたら危ないだろう…」
璃羅を離し、洋服を叩く。
俺は再び椅子に座った。
「で、急に里帰りとは珍しいな。艸波様と喧嘩でもしたのか?」
「違うよ。我と艸波様はラブラブなの!四六時中、ベッドの上で…」
「ストーップ!!!それ以上は口に出すな…」
「もう…口を押さえないでよね」
「実の息子から、そいゆう類いの話は聞きたくない…」
思わず口を押さえてしまった。押さえないと、璃羅は包み隠さず喋る。
それは、父親である月が赤面するくらいに。
随分とオープンな為に、こっちが恥ずかしくなる。
「――…ちっ」
「…」
今のは気のせいか?
璃羅の口から舌打ちが聞こえたような…