『時空神子シリーズ』―華乱

□試練は瑠璃色の雨として降る
2ページ/16ページ

持久力を着けて走って来た璃羅により、俺は椅子から床に落ちた。

幼い頃ならまだしも。

成人した男に抱き着かれるのは色々と打ち所が悪くなりそうだ。


「り、璃羅…離れなさい」


「えーっ。つれないなぁ…母上は。折角、可愛い息子が里帰りしてきたっていうのに…」

ぷくっと、頬を膨らませる璃羅。


「いきなり走って、抱き着いてきたら危ないだろう…」


璃羅を離し、洋服を叩く。
俺は再び椅子に座った。


「で、急に里帰りとは珍しいな。艸波様と喧嘩でもしたのか?」


「違うよ。我と艸波様はラブラブなの!四六時中、ベッドの上で…」


「ストーップ!!!それ以上は口に出すな…」


「もう…口を押さえないでよね」


「実の息子から、そいゆう類いの話は聞きたくない…」


思わず口を押さえてしまった。押さえないと、璃羅は包み隠さず喋る。
それは、父親である月が赤面するくらいに。


随分とオープンな為に、こっちが恥ずかしくなる。


「――…ちっ」


「…」


今のは気のせいか?

璃羅の口から舌打ちが聞こえたような…
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ