『時空神子シリーズ』―華乱

□冥王には秘密事…
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「自分を労ってあげるのも大事な事なんだよ?」


優しい声音で風羅は言う。


「盈は知らないかも知れないけど…精神崩壊寸前の神ほど危険なものはないんだよ。今の盈を支えているのは何?一人の神かな…それとも…焦る自分自身かな?」


「…そ、それは」


「誰かに恋心を抱く事ってのは、恐怖と不安が付きものなんだよ。これだけは、人間も神々も変わらない物だと私は思っている。それを初めて乗り越えて、手に入れるんだよ…」

「自分でも解らないんです。何で…こんなに焦っているのか。どうして、普段の自分じゃないのか。けど、気を抜いていたらいけないって思って。そしたら…何か知らないけど…楽で…」


その言葉を聞くとは思いもしなかった。
盈華が言った科白は昔、実の弟から聞いたのとまったく同じだった。
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