『時空神子シリーズ』―華乱
□苦心の涙は、親心。
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『二人には…あんな思いだけは…させたくない』
僕の中に流れてくる記憶の断片。
璃羅さんの思念とも言うべき一部。彼はまだ避けつづけている。
両親の本音を知りたくなく…
ただ、その場から目を逸らしている。
『璃羅…俺は神艸も神羅も甘えかす事はしない。“双子”で生まれた以上、兄弟で生まれた以上…二人には厳しくするつもりだ。神艸には恨まれるかも知れないが、兄弟同士の争いを避けられるなら俺は…どんな手でも使う…』
『…』
『異論はないか?璃羅』
静かにコクリと頷く璃羅さん。
黄泉の国が規律に厳しく、最初に生まれてきた御子が重宝される国だと僕も知っている。下に兄弟が出来た場合は、互いの意見など存在しないも同然。
生か、死か。
それしか残されないのだと言う。