黒執事

□そのお嬢様、奮闘
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いよいよクリケット大会が始まろうとしていた



初戦は青対赤


両者対面の時


青寮列一番最後にカナンはいた


何時もの黒髪はかつらにより隠れ、ブロンドの短髪が綺麗な、顔の整った少年へと変化していた


あの豊満な胸もサラシでかくしている




前半戦は出ることはなく、後半戦で出番があると言われて待機していたカナンだが、今まさにその時


カナンが打者


しかし投手はレドモンドというもうしょっぱなからピンチなのである



「君は…見ない顔だな」


『(やっぱ鋭い)…俺、影薄いんで…』


そう言うとレドモンドはクスッと笑いこう言った



「君みたいな美人がこの学校にいた事に気付けなかったなんて…俺はどうかしてるかな?」


これまた綺麗な微笑みで返された



『(それ女子に言う口説き文句じゃ…)』



ゾワッとした



さて、打者であるカナンはレドモンドの球を受けることになるのだが、かれの能力はいかなるものなのか


投手のレドモンドへ視線を向けた


足元の砂をならし、準備万端といった様子



「いくぞ」


『かかってきやがれ』



足を振り上げ力いっぱいに投げたレドモンド


優雅で、それでいて力強いそのボールは物凄い速さで飛んできた


『(青寮の子達のため、なんとしても打つ!)であああああっ!!!』



ドゴッ!!!



「なっ」


「「「当たった――――ッ!!」」」



それは見事!ラケットの中心に当たり綺麗な弧を描いて観客席の方へ飛んでいった



歓喜に沸く青寮生徒たち


赤寮生徒たちは唖然とし、ボールを投げたレドモンドは口も開いている


これは審査員の判断により特別点として10点となり逆転5点リードとなった


そしてカナンは観客席に向かって手を振った


『(あ、そう言えばレドモンドくんは投げキッスとかしてたっけ)』



ということでレドモンドの真似をして客席のレディーたちにむかって投げキッスをかました



それと同時にクラっと倒れるレディーが続出した



『あ、なんかこれ楽しい』


「楽しむなっ」


シエルのツッコミが入りました


こうしてカナンの出番が終わり、シエルの出番がやってきた


投手はハーコートだ



『がんばれファントムハイヴ!』


待機場所で見守るカナンは生徒に混じり応援をしていた



完全に馴染んでいるカナンだがただ、ひとつの視線に少し悩まされていた



そう、レドモンドである



「見られているな」


『ブルーアーくん…』


ブルーアーもレドモンドに気づいているようだ


「バレてはまずいな…カナン、今日はもう出番はないから着替えてこい」


『うん、わかった』



危険を悟ったブルーアーに言われ着替えるためスタンドから出た




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