黒執事

□そのお嬢様、水難
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『―――ん…』



首筋の痛みで目を覚ました



そっと手を当てると包帯が巻かれていた


誰が巻いたのだろう…



それと、冷たい床に寝かされていたので背中が痛い




『…――ここはッ…?』


見慣れない景色が広がっている



沢山の絵画


鼻をつつく絵の具の匂い



『美術室…?』


「正解」


『!!』



聞きなれた声が耳に響いた


恐る恐る振り向いく


そこには何時ものように美少年を演じるコールがいた



『コールくん…ッ』


「ファントムハイヴくんに呼ばれてさ、丁度いいから二人まとめていじめてあげるよ」



あの美しい笑みはどこへ行ったのか、その面影はない



『あなた、こんな事をして許されると思っているの!?』


立ち上がり、ムチを取りだした



『レドモンドくんが見たら呆れるわよ…貴方がこんな寮弟(ファッグ)だったなんてね…彼の面目丸つぶれ』


「うるさい!!」


バンッ!!


コールが声を荒げた瞬間、部屋に数人の生徒が入ってきた


昨日と同じ、彼の取り巻きだろう



カナンを取り囲んだ



「先生のこと、好きでした」


制服の内ポケットからハサミを取り出すコール


昨日と同じものだろうか


暗闇で分からなかったが、綺麗な光沢を放っている



随分とまぁご丁寧に研がれていることが伺えた



「学園一美しい"女"教師と学園一の美少年…並んで歩けば監督生(プリーフェクト)さえも釘付けにする」


いつの間にか、カナンの周りに彼の取り巻きがいた



「学園一のカップルになるはずだったのにッ シナリオを滅茶苦茶にしやがって!!!!」


『きゃあっ!?』


一瞬の隙を突かれ、取り巻きに押さえ込まれた


昨夜の出来事が蘇ると、首筋の傷が痛みだした




コールが持っているハサミの刃先が喉元をかすめる



「あの時先生が見ていなければシナリオは完璧だったのに…先生も、それにファントムハイヴも不運ですね?」


『不運ですって?それはどっち?』


「なに…」


カナンは不敵な笑みを見せた



『私をどうにかした後、シエルを痛めつけようって魂胆なんでしょう?まずは手ごわい私から…ってね』


「流石先生!わかってらっしゃる…だから」


『んっ!?』


口に布を巻きつけられた




「お水の中にポーイ!ってしちゃう」


『っ!?』



正直そこまで考えていなかった


美術室にいるもんだからてっきり密室状態にして強姦されるのかと思ったのに(その前にとっちめるつもりだった)


ここまで来てまさかの水責め



「さよなら先生、好きでした」



頬に軽いキスをされ、カナンは取り巻きに連れて行かれた





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