黒執事

□そのお嬢様、傷身
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目が覚めると


そこは蝋燭の灯りだけの部屋



とある屋敷の地下室だ


カナンは硬い実験台のような物の上に縛り付け寝かされていた



『んっんっ…!』


口には猿轡(さるぐつわ)が付けられ喋ることができない



コツ…コツ…



部屋に響く革靴の音



「気が付いたかい?」


『―――っ!!』



そこには あの狂気をまとったドクターがいた




「いきなりこんな所に連れて来られてビックリしているよね」


眉をハの字に下げ、申し訳なさそうな表情をしてカナンの首筋に指を滑らせる



『〜ッ』



キッとドクターを睨むと笑顔を返された



「君のような完璧な"素材"を持った人間は初めて見たよ」


ドクターは懐(ふところ)からハサミを取り出した



「極め細やかな皮膚」


露(あら)わになった太ももをハサミの先でなぞる


「艶(つや)ある漆黒の髪」


髪を撫でる



「禁断の果実の如く紅い唇」


『――ッ(なんなの、コイツ…)』



縄で束縛された手足をなんとかしようと動かすが、ただギシギシと音を立てるだけだ



「僕の理想が詰まったものだよ…さぁ、パトロンに君をお披露目しよう…」


綺麗なウェディングドレスを出し、カナンに着せていく



『いやっ…』


「ほら、着飾らなきゃ…」





その頃、上階ではシエルとセバスチャンが黒幕を攻めていた
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