黒執事

□そのお嬢様、出会う
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サーカス


それはとても愉快なもの



火を噴く大男


双子の空中ブランコ



猛獣使い


スリル満点なナイフ投げ


どれも目を惹かれる光景







"ノアの方舟"というサーカス集団がロンドンにやってきた



シエルとセバスチャンは潜入捜査と言ってそこのサーカスに行ってしまった


「危険に晒すことになるから連れて行くことはできない」


とシエルに言われ留守番になったカナン



もちろんそんなことは無視です



『私だってサーカス見たい!』


ってことで屋敷をこっそり抜け出しました



今度は着物ではなくてお出かけ用のシンプルだけどどこか上品なドレスを身にまとって行った








『ここかぁ…』


サーカスの大きなテントを見上げる



そこには"ノア・サーカス"と書かれていた


一体何故、こんな所に用があるのか


理由はわからないがきっと何か事件だろう



『あ!先にグッズ買わなくちゃ!』



グッズが売っているブースへ向かった









グッズのブースには色々なものが売っていた


イタリアのカルネヴァーレで使われるようなアイマスク


可愛らしい風船


おめかしした動物の置物


サーカスで使われているであろうナイフ投げのナイフ(プラスチック製)等が売られていた


カナンはアイマスクを選び、会場に入ろうとした




シュロロロ…



『え?』



不意に耳元から聞こえたナニカ


空気が抜ける音にしては不自然すぎる



カナンはそっと振り向いた




「シュロロロ…」


『うわあっ!?』


そこにいたのは"へび"


テントの骨組みにぶら下がっていた


しかし、そのヘビは普通のそこらへんにいるヘビとは違うところがある



『あ…あなた、リボンが付いてる』


そっとヘビに腕を伸ばしやんわりとリボンに触れた


「シュロ…」


幸いにも噛まれずに済んだ


寧(むし)ろ、ヘビはカナンを気に入ったのか、自らカナンの腕を伝い彼女の首にやんわりと巻きついてきた


『ふふふ、きっと迷子さんなんだね?あなた、サーカスに出るんでしょう?』


そうヘビに問えば「シュロロ」と鳴きながらカナンの頬に頭をこすりつけた


どうやら人間の言葉もわかるらしい



『さて、どうしたものか…』


飼い主を探したいがきっとこのサーカスのキャストだろう


黙ってキャストのプライベートテントに入るのは怒られる


だからといってこのままサーカスを鑑賞すれば蛇使いの人が困るしなにより、周りに引かれる



カナンは一人、悩んでいた



「……お客さん?」


『は、はい!?』


不意に、声をかけられ驚いたカナンは勢いよく振り向いた
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