黒執事

□そのお嬢様、発揮
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昨日の騒ぎから三日


ようやくこっちの生活に慣れてきた



『ねぇシエル』


「ん…?」



二人でスコーンをついばんでいる



『私、お散歩してきてもいい?』


カラン…



シエルの手からフォークが堕ちた







〜〜〜〜



と、言うことで散歩なう


もちろん着物に番傘です



西洋じゃ珍しいということもあってジロジロ見られる


時々声をかけられることもある



『うーん、裏社会があるとは思えないほど穏やか』



特に争いもなさそうだ――と思った矢先



「おい!!」

「この泥棒猫!!」

「まちやがれーっ!!!」



『……あーもう』



せっかくの優雅な雰囲気が台無し



騒ぎの方に視線を向ければ、こちらの方に走ってくる女の子とソレを追う数人の男たちが路地裏から出てきた





「まちやがれ!!!」


「……っ」



女の子はチャイナ服を着ている



きっと異国の人だからからまれたんだろう



「はぁっ…はぁっ…」



女の子は今にも倒れそうだ



『(酷い…)ちょっとあんたたち!!』



「「「「!!!」」」」



「……!」



番傘をたたみ、傘のえを彼らに向けた



『女の子に手を出すなんて最低な行為よ!』


チャイナ服の女の子を自分の背に隠した


その時見えた腕の傷



女の子にあってはならない醜い傷



『可哀想に…』



心が傷んだ



「おい女!てめぇ覚悟しやがれ!」



『…覚悟するのは…そっちよ』





振袖をなびかせた瞬間、どこからともなくスズメバチが現れた
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