黒執事

□その紫執事、謹慎
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この話は


豪華客船の難破事件の後、死神派遣協会へ強制送還されたオトナシのおはなし…




――――――管理課・課長室



「オトナシ、リストに載っていない者の魂を回収したため、1ヶ月の謹慎処分を命ずる」


「はい…」


豪華客船にて、審査範囲に入っていないものの魂を回収しカナンと葬儀屋の契約を強制解除させたオトナシは謹慎処分を命じられた



「アーラ、冴えない顔してるじゃナイ?」


「なんだ、グレルか…」


「なんだとは何ヨ!!失礼しちゃうっ!!」


「ウルセー…」


課長室を出るなりグレルが待ち構えていた


オトナシは眉間にしわを寄せため息をついた



「謹慎処分なんてカワイソ」


「心に思ってねぇ事言うんじゃねぇ」


「カナンに言ってあげてもいいのヨ?アンタが謹慎処分だってこと」


フフンと鼻を鳴らした


「ダメだ!そんなこと言ったら怒られる!」


「ずっと心配させておくほうが失礼なんじゃないの?」


「じゃぁグレル、お前が俺に化けて面倒見ておいてくれよ」


「は!?ジョーダンじゃないわヨッ」


アタシにはセバスちゃんしかいないの!と声を荒げ、その声になんだなんだと振り向く社員たち


オトナシは大きなため息をついた


「お前みたいな奴にお嬢様の面倒を任せたのが間違いだったよ、グレル」


それだけ言ってオトナシは姿を消した


「何よ、カナンに手を出したら怒るくせに…頼んでんじゃないわよっ」


オトナシと反対の方向へ歩き、グレルはその場を去った





「あーらら、"伝説の弟子"が謹慎処分ねー…」



分かれた赤と紫を影から傍観している者ひとり



「お嬢様…へぇ…




いい魂 見つけたぜ」





その"傍観者"は小さく笑うとs「エリック!!!」


「ブッ!?お、おいアラン!折角のイケてるナレーションを無下にしやがって!」


「は?」



…その"傍観者"はエリック・スリングビー


コーンローが似合うその容姿は真っ赤なグレルに負けず劣らず目を引く


だらしない印象を与える彼だが死神としての腕は一流だ


そして彼を呼び止めたのはアラン・ハンフリーズ

彼の後輩に当たる



「またサボってるのか?」


「アラン、面白い話を聞いたぜ」


「面白い話?どうせまた合コンだろ…それより、最近あの伝説の弟子が帰ってきたみたいだね」


どこか嬉しそうにしているアランにエリックは首をかしげる


「なんでそんなに楽しそうなんだよ」


「あの伝説の弟子だぞ?話を聞いてみたいんだ」


「お嬢様ぁ…ってうるさかったぞ」


オトナシが去っていった方をぼーっと見つめながら言うエリック


今度はアランが首をかしげた


「お嬢様?」


「ま、聞くより自分の目で見たほうが早ェな」


「何処へ行くんだ?」


「人間界に決まってんだろ、そのお嬢様とやらを確認しに…な」


「(魂の回収もあるから丁度いいか)…俺も行くよ」


先ゆくエリックの後を小走りで追いかけた



【その紫執事、謹慎】



「あーあ、お嬢様元気かなぁ」

「あ、オトナシさんじゃないっすか!」

「ロナクスじゃん」

「ロナクスって…俺のことっすか?」

「ああ、ロナルド・ノックスを訳して"ロナクス"」

「ビミョー…」

「暇なんだ、構え」

「無視ですか…」

「あーっ!暇だああああ!!!」



END(2013.5/21)
 

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