07/12の日記

15:23
偶然と必然 ep.1 AL
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「えっと…ここかな?」

A4サイズの雑誌を片手に、30階はあるであろうビルを見上げる。エントランスにある案内板を見て、一つ一つ調べると少年は「あった!」と声をあげ、自動ドアをくぐり、エレベーターへと向かう。
「えっと、3階だったな」
上の矢印ボタンを押すと、エレベーターはすぐに扉を開き少年は3階ボタンを押した。


3階に着くと薄いグレーの高級な絨毯の上をサンダルで、背負いカバンを右肩に背負って、片手に雑誌を準備し、トコトコ一番奥へと歩く。

「こんにちはーっ!あの、この雑誌見たんだけどー、」
「いらっしゃいませ。SUMOUですね。かしこまりました。どうぞ、こちらの席へ。」
女性に案内され、少年はカバンを床に置き、辺りを見回した。

都会だなー。
第一印象はそれだった。

大きな窓ガラスからは、同じくらいある高層ビルが並び、3階からでは一番上が見えない。

「学生さんですか?」
「おうっ、こっちに転校したばっかなんだ!」
「そうですか、でしたら1Kか1Rですね。」
「??……俺、そーいうのよくわかんねぇんだけど……」

席の横にあるパソコンの画面にはたくさんの間取りと外観が映し出され、少年は女性の言う言葉の意味もわからず首を傾けた。

「そうですか…ではこの雑誌の中でいい物件はありましたか?」
「んー、オヤジが独り暮らしなんだから小さいのでいいとか言ってたけど、よくわかんなくて…」

更に深く首を傾げた少年は腕を組んで、父の言葉を思い出す。
渡された雑誌の一番最後あたりのページに付箋がしてあり、ページを開くと不動産会社の住所一覧があった。その中に赤ペンで大きく丸印をしてある場所がここだった。

「だいたい学生さんは1Kか1Rが普通ですね。といっても大きさは物件で違いますが……」
「俺の通う大学が白ひげ大学だから、近いところがいいなー」
「白ひげ大学ですね。でしたら、学生さんが多く住んでるマンションがありますよ。」

カチカチとパソコンを操作した女性は画面に出されたマンションを勧めた。

13階立ての築10年。
1Rや1Kばかりでは無く、ファミリーの住める大きさの部屋もあり、大きな駅も近くにあり、なにかと便利な場所だ。

「おぉ!いいな、新しそうだし、キレイそうだし!大学も近いんだろ?」
「はい。駅もありますし、バスも通って、意外と街なんですよ。」
「ふーん!ますますいいなっ!よしっここに決めた!あ、でも中見てみたいなぁ…」
印象はすごく良く、すぐにでも住みたいくらいだけど、出掛ける手前にオヤジが「いいところがあっても、すぐに決めるな。ちゃんと部屋を見せてもらいなさい。」と言われていたのを思い出した。
「お見せできますよ。」
「マジかぁっ!やったぁっ!」
「しかし今日はこの地域担当のものが休みなので、日を改めての案内でもよろしいでしょうか?」
「いいぞ!オヤジにも見せときたいし、ここの案内くれないか?」
「ではこちらのページを印刷させていただきますね。」
「ありがとっ!それじゃあ、来週の今日でもいいか?」
「はい。大丈夫です。一応、お名前とご連絡先を控えさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「おうっ!俺、モンキー・D・ルフィだ!」

ルフィはニコッと笑い、席をたった。

「ありがとうございます。では、来週お待ちしております。」
「じゃあな!」


ルフィは迷わずエレベーターへと、向かった。
来週の物件案内を楽しみにして。


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長編っぽい感じですが、エース登場させたらすぐに終わらせますー。

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