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□俺とお前。
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※現パロ エース→ルフィ
諦めきれないって。
何度思ったことだろう。
たまに見かける、廊下での姿とか。
教師から呼び出しをくらうタイミングが一緒だとか。
実は帰り道も、同じ方向だったりとか。
向こうは一切気づいてないだろうというところを、こっちはかなり気にしていたりして、その思いが募り募ってパンクしそうなくらい、膨れ上がっていた。
俺は上級生で、お前は下級生。
なんの接点もないはずなのに、惹かれあっているのかと錯覚させるほど、日常にお前の姿は必ずあった。
ルフィ。
そう呼ばれるお前は、どこにいても笑顔で、明るく素直だ。
一度も話したことはない。
ましてや会う機会はあったとしても、話すきっかけがない。
いや、それは違う。
きっかけならいくらでもあったんだ。
それを話す勇気がなかった。
笑えるよな。
突然、告白されても困るだろうからと、近づこうという勇気すらないなんて。
だったらいっそのこと当たって砕けてしまえ!
そう勢いで学校の下校時間に待ち伏せてみた。
するとやはりなにも知らないような顔をして、ルフィは校門へと近付いてきた。
もちろん一人ではなく友人を連れて。
しかし校門を過ぎて、ルフィを囲んでいた友人はルフィを残し、手を振って先に行ってしまった。
ルフィも少し二人を見つめると反対の方向に歩き始めた。
歩き出した方向はいつもの帰り道。
しかし、今、誰もいなくなったこのタイミングのよさ、利用しない手はない。
決心はすぐに固まった。
少しずつルフィに近寄る。
廊下で通りすぎたときくらいしか至近距離を味わったことはないから、もつれそうな足をなんとか動かし、ルフィの背後に近寄る。
真っ黒でサラサラな髪が一本一本揺れる。
お前は俺の存在に気付いていないだろうな。
おれはおまえのことずっと見つめてた。
まだ、小さい頃から。
「ルフィ…」
振り返ると大きな瞳が俺を捉えた。
「!?えっとー、」
「あ、……わりぃ。」
言葉に詰まる。
「エース!なぁ、エースだろ?」
えっ……知ってる?
「あ、あぁ。なんで俺の名前知ってんだ?」
「だって、よく先生に呼び出しくらってんじゃん!」
ウソだろ?気付いてたのか?
「あぁ……」
「廊下でもすれ違うしさ!家も近くだしっ!」
俺の大きな不安がまるで、隕石にぶつかったように砕けた。
「上級生だとは知らなかったけどさ…なんか、よく会うじゃん!!」
満面の笑み。
まるでカンカン照りの真夏の太陽のように明るい、ルフィの笑顔。
「お前、俺のこと知ってたのか?」
「当ったり前だろ!」
「そうか、
ルフィ……初めて喋れたのに、ずっと前から……お前が好きなんだ。」
キョトンとした、ルフィの顔を見てから、やっぱり俯いてしまった。
言った!言ってやった!悔いはねぇ!
「おれ、好きとかよくわかんねぇけど……エースと仲良くなりてぇ!」
しししっとあの笑顔を見せてくれる。
思わず、ルフィを抱き締めると、うずくまった顔をだしぷはぁ、と息をした。
「これから知ればいいんだ。」
「おぉ!そーする!じゃあ一緒に帰るか!」
「おぉっ!」
これから先、ずっとな。
END
兄弟じゃないエールでした。