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□無駄な休日
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たまにはザックスのいない休日っていうのも悪くはないと、前日からワクワクしながら何をしようかなんて考えていた。

いつもは無理矢理、自分の休日に合わせてくるものだから、毎日つき合わせている顔も見慣れたもので、とにかく訓練やザックスに遠征の指示がある日以外はほぼ一緒にいる。

もちろん、お昼ご飯の時も一緒。

しかし、今日は急な仕事が入ったとかで、1日自分一人だけ。

狭く感じていた部屋も広く感じる。

「なるべく早く帰る!」と言い残して、忙しなく部屋を出ていった。

あれから1時間が経つが、洗濯物を干したり、掃除機をかけたり、とにかく苦手だが掃除を完璧に済ませてみた。

しかし、そんな用事はテキパキと進んだおかげで1時間もあれば終わってしまうもので、特に趣味もないクラウドは既に時間を持て余していた。

なにかすること無いかなと、部屋のなかを行ったり来たり。
テレビをつけても、世界の情勢や、お料理番組ばかり。はっきり言って、つまらない。

ハァ。とこの溜め息も何回目だろうか…。

ベランダから外の景色を眺めてみる。
天気は曇り。少しひやりとした空気が肌を伝う。


いつものうるさいザックスは仕事だし、特別仲のいい友人は一人だけいるが、彼女とデートらしい。


(ザックスがいないだけで、こんなにもつまらない毎日なんだ。)


改めて自覚してしまう。
昨日のあのワクワクした気持ちはどこへやら。

よし、お昼ご飯を手作りしよう!
そう思い立って、さっそくキッチンへ向かう。

それから2時間かけて、作ったお昼ご飯は上出来!と自分で褒めてもなんだか、情けない。
テレビを見ながら、口に運んでも、どうも食欲もわかない。

一人がこんなにも寂しいものだとは思いもよらなかった。

カチャと箸を置いて、ソファーに横たわる。
テレビを消して、クッションを抱きながら、目をつむる。


弱いな。こんなにもザックスの早い帰りを期待してる。
あんなに一人を喜んでいた自分がバカみたいだ。

「ザックス…っ…」

ガチャガチャ……
「クラーー!ただいまっ!!」
ドタドタと近付いてくる足音にまさかと思い、飛び起きるとザックスが息を切らして立っていた。
「ザック、ス……?」
「クラ…はぁはぁ……た、ただいまっ!」
荷物を放り投げて、キョトンとしたクラウドの元へ駆け寄り、めいいっぱいの力でクラウドを抱き締めた。
「ごめんっ、寂しい思いをさせたよな?ごめんな、クラウド」
「なっ、べ、別にそんなこと…!」
「嘘つくな!……泣いてんじゃねーか!」
「…えっ?」

ザックスに言われて初めての気がついたかのように、クラウドは頬に伝う涙を拭った。

「もうぜぇーーーったい、お前を一人にしないからな!クラが嫌がっても、一人になんてさせねぇ!!」


更に力強く抱かれ、クラウドは“うんっ!”と小さく頷いた。

やっぱり、二人がいい。




END

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