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□意外な弱点
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「なぁエース…?」
「なんだ、ルフィ?」
「ヒマ……」
「言葉を返すようだが、俺もヒマ」
「ぶー。」




意外な弱点




二人して、甲板の上に寝そべり、大の字になっていた。
カンカンにとまではいかないが、太陽は真上から船を照らしている。

エースもルフィも陰に逃げていたけれど、さきほどまで太陽の当たっていた場所はまだまだ温もりを残していた。

「釣りでもするか!」
とエースは上半身だけ起き上がり、ルフィに提案を持ちかけたが、どうやら本人はこれっぽっちも動く気配がない。
「昨日したー」
ルフィはそう言うとうっすら閉じそうな目をしながら、両手を後頭部で結び、口をへの字にする。
「じゃあ、なにがしてーんだ?」
「……………んーなんもしたくねぇ!」
「ならそのまま寝てろ。」
「やっぱ、ヤダ!」
相手をしてくれなくなりそうなエースを引き留めるためにルフィも起き上がる。
仲間達は昼寝をしていた二人を残して、町に買い物へ行ってしまった。船の見張りもいないことから、迂闊に外へは出られない。
しかし、大して船の上ですることなんて、特にない。
ぼんやりとカモメを見上げながら欠伸をするのも飽きたし、もう欠伸すら出ない。

「エースー、腹へった!」
「だーっ、さっき食って寝たばっかりだろうが!」
「ぶー!腹へったんだよぉ」
「うるせェ!」
喚きだした弟を静かにさせようとエースは脇腹を押さえた。すると、
「ップハハハハッ!!!」


!!!???


「な、なんだぁっ!?」
「お前、脇腹弱ェのな…」
しめしめとエースは笑う。
それがどういう意味なのかルフィは未だにわからず、目を丸くした。
「覚悟しろ、ルフィ!!」
「お?……だぁぁあああ、ハハハッ、エースーっや、やめろってーっ!!!」
忙しなく動く兄の大きな手の罠にひっかかったルフィは、ゴロゴロと甲板を転げ回る。
日陰と日向を行ったりきたり、ルフィは身を小さくして防御するが、全く叶わない。
「お前こそ弱すぎ。」
「ッハァハァハァ……いきなり、ひでぇーぞ!エース!」
「うるせェ!ヒマなんだろ?ちょうどいいじゃねーか!」
エースも聞く耳は持たないようで、一呼吸いれるルフィを無視して脇腹目掛けて指を動かす。
あまりのこそばゆさに、ルフィはもう声が出ないと、バンバンと甲板を叩き出した。
「降参か?ルフィ」
「……………………はぁはぁはぁ……ま、参りまひた……」
「ッハハハハハッ!!!」

全神経がイカれたんじゃないかと思うくらいの攻撃に、ルフィはそのまま笑い疲れて眠った。
その横でエースもルフィの意外な弱点を見つけ、誇らしげに笑いながら疲れ、眠ってしまった。


買い物から帰ってきた仲間たちに呆れられ、二人は夕方まで甲板に寝たままだったとか。


END

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