Devil May Cry


□片恋い(N→D)
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『……それでいい。』

『アンタを好きでいられたら、俺はそれでいい………。』







(……どこの純情乙女だ、今時。)



そう、今時。
あんな告白を聞く事があろうとは、自分はついぞ予想し得なかった。


……いや、本気でああいう事をほざく奴が存在したことこそが驚きだった。


偽りは拾えなかった。
あの、蒼銀の眼差しからは。

そこに一欠片でも嘘が垣間見えていたなら、
今までの相手と同じく一笑に付し。
すっぱりと振り払えていた筈だ。


けれど『彼』は本気だった。
その瞳からは何も拾えなかった。

……欲望が。


かと言って子供に有りがちな『勘違い』や『憧れ』……とも、違う。

彼は何もこちらに求める事なく、けれど親愛や友愛とは違う熱を秘めた瞳で。
男を見た。



「――おい、オッサン。」



そして、あんな瞳でひとを見詰めておきながら、



「いつまで食ってんだ。…ってか、皿にはもう何も無いじゃねーか。下げるくらいしろ。」



こんな風に何事も無かったかのように、
『普通』を演じてみせる。

……これが『素』ではないかと、信じ込ませられそうな程完璧に。


実際は、違うのだろうが。



「……坊や、」



「ん?」



「……。」



訝しげにこちらを見下ろす瞳は、酷く澄んでいた。
彼の、不器用だけれど純粋でひたむきな魂を顕すように。



「何だよ。」



「…いや、何でも無い。」



純粋であるが故に、単純明快な面が目立つ彼が表に出さない、
自分への恋情(オモイ)。


普段、あれだけ解りやすいのに、ここまで完璧に隠している相手に違和感が募る。
……やはり、何かの冗談だったのでは?

そう思わせる程に。



「……具合でも悪いのか?」



距離は詰めないまま、気遣わしげな声を降らせた相手の手が浮きかけ。
そして、





――降ろされる。





(……ああ、そうか。)



それを見て、ようやく実感が湧いた。




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