Devil May Cry


□片乞い(N→D)
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望まないから。

けして望んだりはしないから。




―――アンタを、好きでいてもいいだろうか。









「……好きになってくれなんて、馬鹿な事は言わない。」


「ただ、……すきでいたい。」




「すきで……、アンタを好きでいても………いいか?」




胸の奥に在る、黒い衝動を知っていた。
醜く、獰猛な獣を飼っていた………己の内に。

物心着く頃には気付いていたそれに、ずっとネロは怯えていた。
己が傷付ける誰か―――大切な“誰か”に怯えていた。



「……好きにしな。坊やの意思までは変えられない。」



見詰め合う事、数分。

視線に本気を感じ取ったらしい男は、深い溜息と共に後頭部をがりがりと掻き毟り。
諦観の面差しでそう言い捨てた。

視線は逸らされ、目は合わせられないまま。



「……。」



当たり前とわかっていても、それでも。



「………気持ち悪いか?」



「あ?」



「気持ち悪い……んだろ?」



告げた時点で既に不快な思いにはさせてしまっている。
この上更に……となれば、居心地のいいこの場所を


去る覚悟も辞さないつもりで―――問うた。



(…当たり前の事をわざわざ聞いて、どうしたいんだ。)

(拒まれるのなんか、はなから解りきってる。)



嫌悪を抱かない筈が無い。
当然の反応と言葉を返されるだけだ。


――それでも期待してしまう、そばにいたい。
まだ、もっと。





――目の前の男を、

いつか自分が傷付けてしまうかもしれない恐怖に、怯えていても。






「Hm…。」



無精髭の生える顎を撫でてつつ黙考する相手に。
次に投げ掛けられる言葉を予想して唇を引き結ぶ。

ちらり、とこちらに視線を投げて寄越した男は真正面から改めて自分を捉えると。
口を開いた。



「…――はっきり言わせて貰えりゃ、有り得ねーな。」



……そりゃ、そうだろうな。



「今まで俺にお前みたいな事を宣った奴が、何人かいた。そいつら全員に、俺は丁重にお断りを入れた。」

「それでも身の程弁えなかった奴には、身体に教えた。――俺様は正真正銘のNormalだ、ってな。」



「……。」



「grammarな美女にはそそられても、胸も尻も固い野郎(ヤロー)に興味は無い。」




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