刀剣乱舞

□『俺の嫁さんA〜こんのすけさん、至急です。編』
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「…………ごめんな、みっちゃん。」
「え?な、何が……っ?」

……すっごくドキドキいってんな、みっちゃんの。
……ひとのことは言えねぇけど。

「…その……さっきは、あちこちべたべた……下心丸出しで触ってしまって………。
びっくりしたろ?………ごめんなさい。」
「した…、ごころ……?」

もぞもぞと身動いだ相手が肩口から顔を上げる気配に腕の力を少し緩めれば、間近に綺麗な蜂蜜色の瞳が覗き込んでくる。
……頬が紅い。
長い睫毛が瞬きに合わせて動く度音がしそうだ。

「……あったの…?」
「ゔっ…、……はい。ごめん。」
「………っふふ。」
「?」

罪悪感から思わず視線を外した相手から小さく笑い声がして。
その響きがあんまり優しいから顔を戻せば、笑み崩れる口許を手袋をした片手で隠しながら、酷く嬉しそうなみっちゃんと目が合う。

「ごめんね、急に笑ったりして……嬉しかったから、つい。……他の人ならともかく、『好きな人』なら嫌だなんて感じないよ。……寧ろ嬉しいし、もっと触ってほしいって思う。」

―――触れたいし、触れられたかったって、言っただろう……?

……腰にくる甘い低音で囁きながら、うっとりと身を任せてくる。
擦り寄るその様が、再び俺の肩口に顔を埋め、満足げに吐息をつくのがまるで飼い主に甘える黒猫(仔猫)みたいで可愛い。
もっと喜ばせたくてスーツの背中を撫でたら、ふるり、と背筋を震わせたみっちゃんはますます俺の肩口になついて、ぐりぐりと頭を擦り付けてくる。
可愛いな、と思うと同時、あれだけ好き勝手した俺を拒まないでいてくれるみっちゃんに深く安堵する。
――――『変態』とか『気色悪い』とか思われて引かれなくて良かった、ほんと。

「………あ。でも、ひとつだけ、いいかな?」
「ぇ、あ、はい。」

ほっ、と胸を撫で下ろしたところに告げられてぎくり、と肩が跳ねる。
半分硬直しながら、『やっぱりキモい。』とか言われるんだろうかと、内心怯える俺には気付かずにみっちゃんは、俺と間近にまた目を合わせて、やや恥ずかしそうに。
まるで秘密をそっと打ち明けるみたいに囁いた。

―――本日何度目かの『爆弾』を。



「………下心ありで触るのは……、僕だけにしてね?…君なら、何をしても、どれだけ好きにしても、僕は全然構わないから……。

―――な…、なーんて、ねっ!」



照れやら羞恥やらを隠す為か、真っ赤な顔で最後はやけに明るい口調と無理矢理な笑顔とでまとめると、ぼすり、とみっちゃんは俺の胸に顔を埋めてしまった。
対して俺は何度目かの衝撃に耐えられず、指先まで硬直して動けない…………というか、今にも疚しい衝動に動きそうな身体を抑え付けるのに精一杯。

―――好きな子に『好きにしていい』とか言われるってそれどんな『天国』?それとも『地獄』?
どうしよう……俺の『嫁さん』、可愛いやら天使やら健気やらが過ぎて俺の理性がもう太刀打ち不可。
ゾンビ状態。
悪足掻いてるけどそろそろ限界。
―――しあわせだけど。
幸せがすぎて先行き不安すぎる。



(………こんのすけ、まだか。)


今更思い出して調子良いけどごめん、早く来て。
………此処に犯罪者が一人生まれる前に。



続?

***

※次回はもう一振り仲間が増える予定です。(予定は未定。)
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