B・B
□肆
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「・・・・・・・・さぁ。」
びくりと、目の前の男が肩を震わせる。
怯えた目で、私を見上げる。
「・・・・・・唱えるがいい。
呪文は学んだであろう?」
「・・・・・・・・・・・・く・・・・・・・クルーシオ!!」
何も起こらない。
「そうではない、こうだ。
クルーシオ!!」
「ッギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァアッァァァァァァッァァァァァァアアア!!!!!!!!!!!」
耳を劈く悲鳴。
「これを使うには、本気になる必要がある。
・・・・・・さぁ。」
本気・・・・。
「・・・・・・クルーシオ!!」
杖先から閃光が出る。
それでも、何も起こらない。
「・・・・まさか、お前は誰かを攻撃するのに一々躊躇をしているのか?」
「・・・・・・躊躇などありません。」
「ならば、できる筈だ。
攻撃するのだ、苦しめるのだ!!!」
相手を苦しめる?
攻撃に本気になる。
ふっと、肩の力が抜ける。
簡 単 な こ と じゃない。
「クルーシオ!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
悲鳴が心地よい。
バタバタと虫のように転げまわる男を見て、思わず笑みがこぼれた。
「・・・・・やればできるではないか。
何故最初からやらぬ。」
「申し訳ありません。
手加減したつもりはありませんでした。」
「まぁ良い。
お前のための贄はいくらでも居る。
甚振るなり殺すなり、お前の自由だ。」
「・・・・・・・ありがとうございます。」