B・B
□参
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「ドワイトス。」
「はい、ここに、我が君。」
戸口の男は、先ほど私を引きずった男だった。
「ニーゲルに部屋を用意しろ。
今すぐだ。」
「━━━━━━かしこまりました。」
「施しだ。」
そういい残して、帝王は部屋を去った。
しばらくして、先ほどの男・・・ドワイトスが来た。
彼は、ひとつの部屋に私を案内した。
暗く、静かな部屋。
後ろでにドアの閉まる音を聞いて、呪い避けを部屋に放つ。
呪文は、静かに部屋に反響して消えた。
自らの命を脅かす”何か”は、部屋に無い。
衣装箪笥に入っているローブを手に取る。
使い古した、血のついたローブじゃない。
真新しく、綺麗。
それをベッドに置いて、隣の個室に入る。
ココは何なのか。
栓を捻ると、突如水が降り注いだ。
慌てて数歩下がり、ここが何なのかを思い出す。
「・・・・・シャワー。」
服が濡れるのも構わず、水から湯へと変わるそれに、ただただ触れていた。
温かい。
十何年ぶりの湯だった。
素肌にローブが心地よかった。
腰掛けたベッドの柔らかさが懐かしかった。
幸せだと思った。
頭の中で声がこだます。
幸セデイイノ?
オ前ダケ幸セ、イイノ?
ズルイズルイズルイ
シアワセズルイ