一陽来復

□第捌戦
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夏樹がこの世界に来て一週間が過ぎた






その間夏樹はと言うと、真田十勇士によるスパルタ修行を行っていた


海斗もこれをやったそうだが…、本人によるとその時よりもスパルタだな。との事




そして修行を終えると、各地の情報を頭に叩き込んでいた

書物を読んだり人に聞いたりと方法は様々だが、夏樹は主に書物で情報を得ていた






本日もスパルタ修行を終えた夏樹は、自室にて書物を読んでいたのであった



静かにページをめくる音だけが鳴り響くこの空間に、突如轟音が乱入して来る

その音はどんどんと夏樹の部屋に近付き、襖が壊れるくらいの強い力で開け放たれた





『テメッ、襖が…』


「夏樹殿!城下に行きませぬか!?」





夏樹の言葉を遮って、襖を壊した人物はキラキラとした瞳で夏樹に尋ねた





『城下?』


「そうでござる!一緒に行きましょうぞ!」


『…でも、俺午後からも修行…』


「行っておいでよ」





天井からするりと舞い降りてきた佐助の言葉に夏樹は瞳を輝かせた





『いいのか?』


「最近頑張ってるからね〜。ご褒美だよ」


『あ、ありがと!』


「では夏樹殿!参りましょうぞ!!!」


『ゆ、幸村!ちょっと待て…』





言葉を発しようとした夏樹に構わず、幸村は夏樹の腕を掴むなり勢いよく走り出した


夏樹はというと、地面には足がつかない状態で、幸村に連れられる形で部屋を後にした




























―――――――――――――





『お〜い、幸村ぁ!』





あの後、城下まであの状態が続き、ついには夏樹は幸村に振り落とされてしまった

だが、幸村は夏樹が落ちた事に気付かず、そのままどこかに走り去ってしまった


お陰で夏樹は世間で言う迷子というヤツになってしまったのだ





『全く、幸村のヤツ。だから待てって言ったのに…』





愚痴を言っても仕方ない
とにかく幸村を探そう……




その後も幸村を探して城下を歩き回っていると、人だかりが見えた

もしかしたら幸村がいるかもしれない、という期待を胸に夏樹はその人だかりに近付いて行った












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