一陽来復

□第肆戦
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「皆の者!新しい仲間じゃ!!」


『摩禄夏樹です。よろしくお願いします!』


「「「ウオォォォオオ!!」」」


「今宵は宴会じゃ!! 楽しむが良い!!!」


「「「オォォオォオオ!!!」」」





お館様の言葉と共に宴会は盛大に始まった

夏樹はと言うと、海斗と共にお館様の傍で食事をしていた


お館様の横なんて…と言ったが、お館様の悲しそうな目に負けて現在に至る(あの目はチワワだった!!)





『あ、これ美味しい』


「そうでござろう!! それは佐助が作ったんでござるよ!」


『本当か?』





バッ、と佐助を見ると本人は照れ臭そうに頭を掻いていた





『オカンって呼んでもいいか?』


「ヤメテ」


「でも佐助はオカンだろ?」


「ちょっと、海斗までそんな目で俺様を見てたの!?」


「真田十勇士の皆は全員そう思ってるぜ」


「俺様って……」





海斗と佐助のやり取りを微笑みながら見ていると、急に頭に違和感を感じる


どうやら手を置かれた様で、その手を置いた本人であるお館様は微笑みながら夏樹を見ていた





「夏樹よ、楽しいか?」


『はい、楽しいです!』


「そうか、それは良かった」


「夏樹殿!!」





お館様と話していると、幸村がこちらに来て、夏樹の手をギュッと握る





「夏樹殿!! どうか某の事は幸村とお呼び下され!!」


『…では幸村様と、』


「敬称はいらぬ!敬語も使わないで下され!!」


『…分かった。幸村、これからよろしくな!!』


「うむ!」





よほど嬉しかったのか、幸村は目を輝かせて満足そうに頷いた

それを見て、夏樹とお館様が笑い合っていると遠くの方で何かが壊れる音が響いた


どうやら喧嘩の様で、言い争う声も聞こえてきた。様子を見る限りかなりの人数の様だ





「佐助」


「はぁ、分かりましたよ…って夏樹?」





幸村に言われて佐助が動くよりも先に、お館様の傍にいた夏樹が立ち上がり喧嘩の方に向かって歩んで行く





「手加減しろよ〜」


『分かってるよ』





夏樹は海斗の言葉に振り向かずに手を振って答える

そしてかなり周りが凄い事になっている喧嘩の場にズカズカと入り込んでいく





『ちょっと、止めな』


「うっせぇ!! 餓鬼は黙ってろい!!」





相手達はかなり酔っている様で機嫌を悪くした一人が夏樹に向かって拳を振るう





「夏樹!?」


「夏樹殿!?」


「黙って見てな」





海斗が夏樹を助けに行こうとする幸村と佐助を静止する


夏樹は勢い良く繰り出された腕を避けると、手を腕に乗せて逆立ちの要領で背後に飛ぶと間接をキメて動けなくする





『大人しくしてくれよ』


「この野郎…!」





間接をキメた奴を怪我をしない様に蹴り飛ばした後、向かって来た奴と対峙する


初めに右斜め前の奴の懐に入り込み顎に一発食らわせた後、左側にいた奴に回し蹴りを食らわせ、更に自分の後ろに周り込んできた奴に向かい合わず、そのまま飛び上がってバク転の要領で奴の頭を掴み後頭部に一発蹴りをカマす





「凄い…」


「へぇ……」


「うむ、」





その様子を見ていたお館様、幸村、佐助は思わず夏樹に見惚れてしまった


まるで舞でも踊っているかの様に、優雅で華麗に戦っていてその姿はとても美しい





数秒後には喧嘩は収まっていた








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