短編集
□補講時間
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「教授、ここのページに
書いてある薬の作り方で
気になった所があるんですが…」
「それは、間違いだ。正しくは…」
我輩は、
質問されたことを中心に講義をはじめる。
それを*****が丁寧にノートにとり、
また我輩になにか尋ねる。
とつぜん補講がしたいと名乗り出た、
グリフィンドールの生徒。
それに了承して開始した補講は、
毎日こうして、淡々と進められていた。
彼女のことは、名前も顔も、
しっかりと覚えていた。
グリフィンドールには勿体無いほどの、
機転の効きと発想の良さ。
いつも本当に真摯に
魔法薬の授業に取り組むその姿勢は、
我輩がいままで受け持った
どの生徒とも、比べがつかないほどに
素晴らしいものだ。
*****・*****は、
あれから毎日のように、
我輩のもとを訪れる。
「失礼します」
「あぁ、入れ」
そして、また今日も始まる、
最近日課になりつつある放課後のこの時間。
我輩はうなずくと、
いつものように彼女の向かいの席に座り、
そして質問を待つのだった。