短編集

□聖なる夜、星の下にて
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夜がふけて、ホグワーツに静寂が訪れる。

*****は、緊張しつつ、
そんな校内を息を潜めて歩いた。





たどり着いたのは、湖の近くにある木の下。
視界をさえぎるものも少ないため、
星も良く見える。



それに、ここまで探しに来るような先生も
めったにいないはずだ。








……と、思っていた。





「*****……
 こんな所で何をしているのですかな?」



後ろから響く低い声。



「!!」



まさか……



*****が驚いて後ろをふりむくと、
そこには予想通りの人物がいた。

セブルス・スネイプだ。




「……てへっ、見つかっちゃった!」




おどけて言ってみせるが、
かえって逆効果だったらしい。

セブルスの眉間にはくっきりと
深いしわが刻まれている。




「ここで何をしていると質問したのだが……
 聞いておられませんでしたかな?
 
 
 …とっくに消灯時間はすぎている。
 理由がどうであれ、規則は規則だ。
 グリフィンドールは10点減点。

 わかったらさっさと寮へもどれ」



しかし、目の前の少女はまったく
反省の色を見せない。



「えー、セブルスのけちー」



ぷーっと顔をふくらませているが、
目は笑っている。




「はぁ…」




セブルスはその能天気さに呆れたように
ため息をついた。




「それに、自室以外でその名で呼ぶなと
 なんどいったら……」




そのとき、

急に空が明るくなったのを感じ、
2人は思わず空を見上げた。




たくさんの星々が次々と、
空に降りそそいでいる。





「ふふっ、
 今日抜け出したのはね、
 これが見たかったからなんだ」




セブルスも心なしか
まぶしそうに目を細めながらも
見とれているようにみえる。




「流星群か……めずらしいな」




そうつぶやいた声が、
*****の耳にも届いた。




「良かったら、一緒に見ない?」




断られるだろうと思いながら、
冗談交じりで言った言葉。


しかし、セブルスは、




「生徒は寮に帰れ。
 …と、普段ならば言うだろうが…」




ふいっと視線をそらすと、




「天文学の発展の勉強をしたがる
 意欲的な生徒に免じて…

 我輩がそばで監視するという
 条件つきならば許可しよう」




そういって、
*****のとなりに腰掛けた。

*****はびっくりしてセブルスを見るが、
セブルスは*****に顔を向けようとしない。


その様子を見て、
*****が急に顔を緩ませながら、



「またそんなこと言って、
 本当は私と見たいだけでしょ」



なんて調子に乗ったように言うので、
たちまち眉間のしわをこくしたセブルスが




「やはり先ほどの言葉を取り消して
 寮に引きずり帰したほうがいいか」




と、*****を睨むと、




「わ、わ、ごめんなさい!
 私が一緒に見たいだけです!」




*****は手をぶんぶんふりながら、
そうあわてて訂正した。






まぶしいくらいの空に、
目が細くなる。

星の光に照らされて、
2人の背後には影ができるほどだ。




きれいだね。




言おうとしてセブルスに顔を向けると、

いつから見ていたのだろうか…
こちらを見つめていたセブルスと

思い切り目が合ってしまい、
一瞬びっくりする*****。


ばつがわるそうに
視線を彷徨わせるセブルスだったが、



「星、きれいだよ」



さほど気にしない様子で笑う*****に、



「そうだな」



と、少し笑みを浮かべた。
が、それから急に*****をじっと見つめて、



「綺麗だ……」



「え……?」



普段からは考えられないような
深い色の優しい瞳で
つぶやくものだから、


*****は音がでるほどに
勢い良く真っ赤になって
思わずうつむいてしまう。

セブルスはそれを見て、
意地悪く笑った。



「くくっ……星に対して言ったのだが。
 何をそんなに赤くなっている?」



「もう!からかわな……っ!」


そんなセブルスに、
講義しようといきおいよく顔をあげた
*****だったが、

目の前にある近すぎるその顔に気づいて、
赤い顔をさらに赤くして動きをとめた。













「メリークリスマス、*****」

「…ばかセブルス…」

やがて、星々に照らされて
浮かび上がった2人の影がかさなった。



END


**************

クリスマスプレゼント企画
リクエストをくださったローズさん、
ありがとうございました。

甘とのことでしたので、
がんばってみましたが
いかがでしたでしょうか?

甘いのは書きなれないため、
なんだかこんなのでいいのか不安では
ありますが……

もし楽しんでいただけたのなら幸いです。
ここまで読んでくださった
お嬢様方に感謝感謝です

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