賢者の石

□12 飛行訓練
3ページ/7ページ






木曜日がやってきた。




朝食の時間の大広間は、
今日の飛行練習の話題で持ちきりだった。


ハーマイオニーは、
さっきからずっと、飛行のコツについて
延々と語っている。





ユキも最初の内は
その話に付き合っていたのだが、

彼女の話があまりにも長いため、

中盤くらいから、相槌はうつものの、
それは打つべき場所で無いところで打たれ、
打つべき場所では無言だったりして、

あまり聞いていないことがバレバレだった。



本当にしっかりと聞いていたのは
ネビルぐらいなものだ。









ふくろう便の時間になり、
彼女の話がさえぎられたため、
皆はほっとしたように息をついた。





ユキのひざの上に、
ワシミミズクから小さな包みが落とされた。


あれから毎日のように、
ルシウスはユキの所へと、
お菓子を送ってくれている。

そしてユキは、
それを朝、つまんで食べる。

というのが、
ユキの最近の日課になってきていた。




ただ、ユキが最初の手紙の返事に、
"食べきれないです"
と、書いたためか、

前ほど大量に送られてくることは
無くなったようだった。





ネビルのもとには、
思い出し玉が届いていた。

ユキがそれを見た後、
スリザリン席の方に目をうつすと、

案の定、ドラコ達は
こちらに向かってくるところだった。





ドラコはネビルの思い出し玉を見つけると、
玉を奪おうとネビルに近づいたが、

それに手を伸ばす前に、
ユキの前に置かれた
お菓子のつつみに目が行ったようで、

ドラコの感心は、
ネビルではなく、ユキに移された。



「やぁ、ユキ。
 それ、もしかして、
 僕の家からの包みかい?」



まさか、自分が声をかけられるとは
思っていなかったユキは、
びっくりした顔で、小さくうなずく。




「やっぱりね!
 最近僕の家のふくろうが、
 帰り際にグリフィンドールの方を
 通るようになったから、
 不思議に思っていたんだ」



「へ、へえー」



「それにしても、
 君が父上と知り合いだったとは驚きだな。
 いつ知り合ったんだい?
 言ってくれればよかったのに」



「い、いや…なんていうか…」



「まぁ、そんなことはいいか。
 でも、父上は君のことを
 えらく気に入っていたようだから、
 こんど家から誘いが来るかもね。
 僕も、君が遊びに来るなら歓迎するよ」
 



ドラコは、
一気にそれだけ言うと、得意げに笑って、
その場をさっていった。

その勢いに唖然としていたユキの横で、



「君、なんであんなのと仲良くできるんだ?」



と、ロンは怪訝そうな顔で言ったが、



「うーん…、
 まあ、ちょっとアレだけど…

 まぁ、でも、
 仲良くしていればいい子なんだけどな」



ユキはそう言って苦笑いするしかなかった。








  
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ