流転の謳歌。

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「円環の理には逆らえない…私たち魔法少女は消えるしかない」

「じゃあ、アイツは消えちまったのか?」

「仕方ないよ、杏子…」

「だって…やっと友達になれたと思ったのに……」

「泣くなって、運命なんてごった煮にされるもんじゃんか。
またあえるよ、きっと」

「あきら…っ、お前も、そんな事言ってる場合かよ!!」

「っ…」

「マミも杏子もそんな顔すんなって。私こそ消えるわけじゃないんだから」

「でも…」

「魔法少女であることによって出会ったんだ、こんな綺麗な世界で生きるためにはどっかで妥協するしかない」

「会ったこともリセットされるのよ…?あなたも私たちも、みんな忘れちゃうのよ?大事なこと…大事なひとを」

「お前だけ遠くに行っちゃうんだぞ!今度こそ会えるかも分からないのに…っ」

「はいはい、お前ら大好きだよー」

「ううっ、馬鹿…」

「お前なんかどっか行っちまえ…っ」

「じゃあ、迎え来たし行くわ」


あきらはプラットホームに来た電車に向かって歩く。どうやらこれが最後の別れになるようだ。
ふとあきらはほむらの横を通り過ぎる。
そのときばっちりと目があった。

「ほむら?」

「鹿目まどか、覚えてる?」

「かなめまどか?」

「そう、なら、いいわ」

あきらはじっと彼女の胸に抱かれているリボンを見つめた。すると今度はほむらが自分の黒いカチューシャを外す。

「あきら、これを持っていて」

「ほむら…」

「さようなら、私の大切な“もう1人の”友達」

「ん?」

その途端列車が警報を鳴らす。出発の合図だ。これに乗らなければいけない。絶対に乗らなければいけないのだ。

「やべっ」

思い切りそれに飛び乗ると近場にあった窓を開ける。3人がこちらを、寂しげな目線で見ていた。




「また、いつか会うときまで」














「ちょっとあきら!あんた寝てるの!?降りなきゃやばいわよ!!」
「え…ちょ、ごめんごめんうわマジだやばい!!」

2人は手を取り合い列車から飛び降りる。ほっと胸を撫で下ろすのも束の間、あきらは昔っから頼りっぱなしのしっかり者な友人にどやされた。

「もう、私が見つけなかったら遅刻してるんだからね!」
「だから悪かったって」
「本当に悪かったって思うんなら…」

はあ、とあきらは溜め息を吐く。綺麗な水色の髪を持つイカした友人はこうやって押しが強い所がある。だから彼氏ができないんだ。

「分かったよ、そこのコンビニでいい?」
「やった!!あきら愛してるぞー」
「あっ、ちょっと待てよ!」

そうなれば今度はあきらを置いて走り出す。でも彼女のこんなところが、あきらは嫌いではない。

    「さやか!!」

初夏の風が爽やかに、2人の間を駆け抜けた。


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