スレツナ部屋

□〜序章〜
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- 序章 -
  * プロローグ *




 物心ついた時には、周囲の出来事が大方理解出来ていた。

 五歳の時に親にそのことを告げ、証拠までに難関大学の入試問題を解いて見せた。

 親は大いに喜んでくれたし、俺も両親に喜んでもらえるならと様々なことを習得していった。

 本来ならば日本で過ごすべき幼稚園の年中・年長の期間を、俺はアメリカの大学で過ごした。

 英才教育にしても異常といっても良いスピードだったのかもしれない。

 俺が小学校に上がる前には大学を飛び級で卒業していた。

 日本に帰ってきてからは戸惑うことが多かった。僅か2年という短い期間とはいえ、大学生に混ざって学んでいた俺にとっては同年代の子供とどう接していいのか分かる筈もなく。

 どう考えても年令不相応な考え・態度・発言。必然的に俺は他の子供たちと仲良く出来る筈がなく、当たり前のように化け物扱いを受ける。

 幼心にも化け物扱いされたという事実は、俺の心に深い傷を負わせる。

 ある程度までならば誉めてくれた親さえも、幼稚園児らしからぬ俺を、日に日に気味悪がるようになっていった。

 初めのうちは気のせいかと思っていた。

 でも、俺に話し掛けたり、触れようとするときに一瞬戸惑うことや、俺が話し掛けたり触れようとするときに微かに体を震わせて怯えるような動作に嘘ではないのだと悟ってしまった。

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