「今日は服装検査されるって話だよー」
……なんで俺が他校のそんな情報を知ってるかって? 嫌だなあ、そんな顔しないでよ。あからさまに疑う目で睨まれるとにやけちゃうって。
「たーまたまね。そういう情報を掴んで、伝えたくって来たんだ」
「わざわざ?チャリで?朝のこの忙しい時間に?」
早足で通学するあんたに初めて会ったのはもう何ヶ月も前のこと。好奇心で他の学校に忍び込んだ日だった。あの時俺は一年坊主で先輩に引きずられるようにして嫌々行ったんだけど、後悔はしていない。あれがなかったら今はないんだ。
「噂は聞いてるよぉ。服装検査ではあの張遼先生に正面からぶつかって玉砕してるんだって?」
「ねえ、どうでもいいけどもううちの校門だよ。また大騒ぎになったら庇えないからね」
あんたからしたら俺はいつまでも他の学校の困った君。一度植え付けられた印象ってなかなか抜けなくってそれこそ困る。今でも教師との追いかけっこに自分を巻き込んだトラブルメーカーなんだろうね。
「いいや、あんたはきっとまた俺を庇うね。だってこんなに優しいんだもん。ところで、今日はちゃんと"純白"なの?」
この人に愛されたい
「下着変えに行くなら家まで乗せてってあげるけど」
「ううううるさいうるさい!なんであなたにそんな心配されなきゃならないの!」
あれ?なんで顔を真っ赤にして怒るのかな?君が張遼先生に対して宣言する「下着の色は純白です」ってのは結構有名で、開き直るかと思ったのに。
もしかして、
「……恥ずかしいなら言わなきゃいいのに」
「うるさい!ああでもしないと張遼先生は鉄面皮を崩さないんだから、しかた、なく……!」
「バイバイ。また来るからね」
「さっさと行って……頼むからもう来ないで」
手を振れば振り返す。それが"おいでおいで"に見えてブレーキをかけたら「バイバイ」と言われちゃった。これが恋なのかどうか、この瞬間が岐路だったみたいで確定してしまった。
(『先生ー!』の主人公で馬岱。張遼→←←←主人公←馬岱な感じ)