※ちょっとだけ注意














俺ってさ、まだ十六歳じゃない? 十六歳は、大人じゃない。まだまだ未成熟な、『コドモ』だ。




そんな俺が、ボーボボさんを見つけるまで――あの人の存在を知るまで、一体どんな気持ちでいたと思う? 一体どんな生活を強いられていたと思う? 分かるかな。分かるよね? だって、アンタも同じだもんね。





毎日毎日、行く宛も無いまま、故郷を救ってくれる誰かを探す日々。なんの情報も得られず、迫る追っ手をかいくぐって自分の身を守らなきゃいけない日々。勿論お金だって無いし食料も無い。生きる術を根刮ぎ奪われた状態での旅だったよ。こういう時コドモって無力だよね。自分が如何に『大人』に護られて生きていたのかが分かるってやつだよ。




大体は野宿して凌いでたんだけど、やっばり街に入っちゃうとそれがままならなくなっちゃうんだよね。ホラ、街には充分な自然が無いわけだからさ。寝床も無いし食料も無いし、って状況に追い込まれちゃうんだよね。何度も言うけど、俺無一文だったから、宿に泊まることなんて夢のまた夢だったんだ。








で、そこで思い付いちゃったのが『男娼』の真似事だった。








…え? 今までそんなことしたことあったのかって? 無いに決まってんじゃん。俺は殆ど修行するか読書するかで時間を使ってたんだから。そんなこと、進んでやるわけ無いじゃない。



だからこの時が初体験ってわけ。



最初はおっかなびっくりでやってみたんだけど、案外簡単にお客さんが釣れちゃって。真面目そうなお兄さんだったね。今考えたら良かったよ、初めてがまだマシな人でさ。

初めてって言ったら「優しくしてあげる」って言ってくれて、本当に優しく抱いてくれたよ。お金もくれたし。惜しむべきは場所が路地裏だったってことだね。初体験が青姦ってどうなんだって感じ。まぁあの時はそんなことこれっぽっちも頭に無かったけどね。





それから俺はちょくちょく身体売って生活費稼ぐようになったんだ。どこ行っても相手には困らなかったよ。俺が声掛けたら大概の人は誘いに乗ってくれるし。ホント、男受けするような顔に生んでくれた母さん達に感謝したよ、って俺って親不孝者かな? でも生きるためだし、仕方無いよね。そうするしか方法は無かったし。










でも良いことばっかりでも無かったよ。相手してあげた人達が俺の噂流してたみたいで、何人かに囲まれて無理矢理されたこともあったし。あれは痛かったし怖かったよ。ムチャクチャにするだけムチャクチャにして、自分達が満足したらさっさと退散しちゃって。ボロボロの俺放置だよ、放置。そういうことが何回かあったけど、止めようとは思わなかったね。だって、止めたら俺、死んじゃってたかもしれないし。









「ねぇ、破天荒。お前は、こんな俺を、汚いと思う?」




ヘッポコ丸の真紅が、俺を射抜いた。俺はその色に吸い込まれるように顔を近付け、唇に柔らかなキスを送った。



朱く色付いた胸飾りに触れてやれば、ヘッポコ丸はビクリと身体を震わせた。唇を離すと、はぁ、と吐き出された息。それはやけに熱く、やけに甘い。俺はそれに興奮した。年齢にそぐわない色香を持ったコイツに、ひどく欲情していた。





ヘッポコ丸のこれまでの隘路を聞いたところで、俺のヘッポコ丸に対する想いは変わりゃしない。身体を売らなければ生きられなかった。それならば仕方無いだろう。コイツだって必死に生きてたんだ。辛い目に遭っても、生き抜くためには、自分の身体を売るしかなかったんだ。




「汚いなんざ、思わねぇよ」




そう言って、汗ばむ額に口付ける。




「お前はお前で、必死に生きてたんだろ? なら俺に、その生き様を否定する権利なんかねぇよ」
「…でも、嫌じゃない? 今まで何十人もの男の人に好き勝手されてた身体を抱くなんて」
「嫌ならとっくに止めてるっつーの」





余計なこと言ってねぇで、さっさと足開け。






そうさ。嫌ならとっくに止めてる。「そんな汚ぇヤツなんか抱けるかよ」って突き放してる。でも俺はそうしない。絶対に、突き放してなんかやらない。







――だって、過去がどうであれ、今コイツの身体は俺だけのもの。











過去に
   さよならバイバイ
(過去なんざ、今から俺が洗い流してやらぁ)
(お前はいつまでも、綺麗なままさ)







制作時間三十分の超突発文(ぇ)。いや、誰でも一度はこういうの考えるのでは無かろうかと思って代筆をコソコソ(;・ω|壁(余計なお世話だ)

破天荒さんが軽蔑しないのは、へっくんがそうした気持ちが分かるからです。なんたって破天荒さんは三歳で故郷を出ざるをえなかったのですから。きっと破天荒さんも同じことしてるはずっ!(最低)










栞葉 朱那

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