短編 中身
□籠の中の鳥
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明かりなんて付けられていない一室。
ベッドやソファーなど家具は皆豪華だ。
月明かりに照らされるのは、情事が終わりベッドに横たわる1組の男女。
細身だが引き締まった体つきの青年の腕に抱かれた色の白い華奢な少女の手首には長い鎖を伴った手錠が、―――手錠が掛けられていた。
「雲雀さん、」
ハルの艶やかな髪を梳いている雲雀は手を止めることなく返事をする。
「何?」
「ここから出して下さい。」
甘えるように、媚びるように雲雀の胸に顔を押しつけて言う。
「だめ」
間髪を入れずに言われた言葉。
「何で?」
「何でも。」
「じゃあ、鎖だけでも外して下さい。」
「だめ。逃げるから。」
必死にハルは言葉を続ける。
「逃げません、絶対に逃げませんから…!」
「じゃあ、このままでいいでしょ」
その言葉にハルは人が変わったかのように暴れだす。
雲雀の腕の中で。
「やだ、やぁだ…!ハルを帰して下さい!! 家に帰りたい…!!」
一転して、雲雀の胸を押し返しながら泣き喚く。
ジャラジャラと擦れる金属音。
「ハル、雲雀さんに好きって言ったでしょう…!?セックスもしたじゃないですかぁ…!! やだ、気が狂いそうです…!! 雲雀さんなんか嫌いっ、嫌いです…!!ツナさぁん!!!」
雲雀は逆に腕の力を強めてハルを軋むほど抱き締めた。
「あぁ、可哀想に、ハル。眠いんだ。」
それとは裏腹に宥めるような声音はとても穏やかで。
「でも、ちょっとお仕置きが必要なことを言っちゃったね」
しかし、次の瞬間には眼光を鋭くさせて乱暴にハルに口付ける。
「ん、んぅ〜!」
首を振って嫌がるハルを無理やり押さえ付けて舌をねじ込む。
そのままハルの咥内を掻き乱す。
「ハァ、ハァ…」
息を乱すハルを見下ろして、雲雀はベッドサイドから取った何かの液体を口に含んでまたハルに口付ける。
「んん〜っ」
やがてハルの喉が鳴ったのを見て、漸く口を離す雲雀。
ハルを見ると、目を潤ませて体を震わせている。
「ハル、どうしたの?」
口元を歪ませて問う。、
「あ、、あつい……、体があつぃで…! んぁっ…!あぁ!!」
途中で首筋を胸の突起を舌で愛撫すると、上がる嬌声。
「やぁ…っ!あん!なに…これぇ…、っ!んぁ!!」
「これはね、」
「ハルを」
「素直にさせるための、薬だよ」
雲雀の声が妖しく響いた。
→あとがき