LOVE ME TENDER
□what you wants
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「…兄さん、聞いてる?」
ふと、アルフォンスの声で我に返る
「あっ、ああ、ワリイ」
結局あのあと、俺とウィンリィは普通に駅まで行き普通に買い出しして普通に帰ってきた
「いや…さっきから兄さん、ため息ばっかりだから」
「…そうか?」
苦笑いしたら、またため息が出た
「行き詰まってるの?その本も、そこから全然ページ進まないし」
俺の掌の上で開かれたままのぶ厚い錬金術書は音を立てずに静かに不動を守る
「ん?……ああ…」
本当は一文字も頭ン中には入っちゃいない
頭ン中はすでに
あいつの事でいっぱい
「……なあ、アル」
荷物持ちで安心したんだか
荷物持ちでがっかりしたんだか
とにかく
「何?」
頭が
「知りたい事ってさ…」
いっぱいなんだ
「……紙の上には書いてないもんだな」