mement mori (オリジナル小説)※現在更新停止中

□間章 一の二
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始め、人と霊は間違いなく同じ道を歩んでいた。
間違いなく世界は光へと進んで行った。
人と霊は共に、出せる物を出し合い、
間違いなく世界は光へと進んで行った。
間違いなく俺たちは、彼等に救われた。
間違いなく。
そう、間違いなんてなかった。

捨てられた俺たちを拾ってくれたのは、彼等だった。
間違いなく彼等だった。
そう、間違いなく。間違いなく。間違いなく?
そう、間違いが起こった。
発見。異変。狂気。恐怖。奪取。幸福感。満足感。背徳感。空虚感。無力。剥離。記憶。既視感。劣等感。狂気。恐怖。対策。幸福。興福。口福。降伏。・・・。

そして、人々は気付いた。
本当の敵は味方だったことに。

人々は霊を恐れるようになり、世界は道を外れた。
人々は霊と戦うために、合法の軍隊を作り上げた。

駆霊屋。

まるで便利屋さんの様な外面をした、殺し屋。
仕事は簡単。
ただ、特定の条件に当てはまる霊を殺すだけ。
罪悪感が無いわけでは無い。
まして、彼等がいなければ、今の俺は居ないのだ。
しかも、彼等の代表である八兵衛と共に殺すのだ。
時々、何もかもやめたくなる。
全て投げ出して、忘れたくなる。
それでも忘れられない。
溯の声を忘れられない。
溯が残した物を捨てるわけにはいかない。

でも、それでも、あの少女の、雫の言葉が
「君はどうしてそんなことをするの?」
ずっと鳴り響いている。

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