オリジナル

□赤い目の人形
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 重い鉄のドアを開ける。いつもより雲が多い。湿度が高く、じっとしていても肌に水滴が乗る。


 私は屋上の床に座った。ぼーっと空を眺める。少しだけ青空が見える。透き通った水色にみとれた。



すぐに時間は過ぎる。昼休み終了5分前を知らせるチャイムが、学校中に響いた。
「いかなきゃ」
私は立ち上がる。人形をそっと持ち上げようとした。が、拒んだ。
少女はとても幸せそうに空を見ている気がしたから。






「ちょっと待っててね」
そう話し掛けて、私は教室に階段を駆け降りた。
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