【極秘リング編】(完)
□忍び寄る影
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『………』
(なんだか、照れ臭くて、先に帰って来ちゃった…)
得に用事があるわけでもないのに、私は一人先に帰ってきてしまった。
ツナくんが好きだって気づいて、なんだか顔見るの照れ臭くなって。
家までの道のりをトボトボと歩き続ける。
すると、
ドンッ…!!
誰かにぶつかった音がした。
『す、すみません!!』
私はとっさにぶつかった人に謝った。
見上げるとそこには綺麗な顔だちのした男の人が立っていて。
「いえ…こちらこそ…すみません…」
ぶつかった男の人は柔らかに微笑むと、私に謝ってきた。
『なんだかよそ見してました…大丈夫でしたか?』
「はい…こちらこそボーッとしてました…貴女こそ大丈夫ですか…?」
心配そうに見てくる男の人。その顔をあまりにも綺麗だったから、私は慌ててしまって、
『私は大丈夫です!本当にすみませんでした!』
その場からすぐ離れ、私は猛ダッシュで走った。
(思わず照れてしまった…)
この時、出会って居なかったら、
私はまだ明るい未来が待っていたのかな…
誰も泣かなくて、
傷付かなくて済んだのかな…
ツナくんとも…
お別れしなくても良かったかもしれないよね…