【テニスと王子様と歌姫と…】

□episode1
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寒い冬が終わり、季節は春
桜も咲き始めてきた、4月、春休み


『〜〜♪♪出来たぁ〜!』
朝からキッチンに居た私は、やっとお昼に食べるサンドイッチとチョコマフィンとクッキーを作っていた
キッチンとリビング、ダイニングには美味しそうな匂いが漂っている
それにつられて、母が扉を開けて中に入ってきた

「い〜〜い匂い♪奏何作ったの?」

『サンドイッチとマフィンとクッキーだよ、これから、優ちゃんと沙羅さんとお花見に行くの♪』

私は手際よくサンドイッチとマフィン、クッキーをラッピングして大きなランチバックにつめた

「優介くんに沙羅ちゃんね!あなた達、本当に仲が良くて、本当の兄妹みたいね」

『お母さん、沙羅さんは優ちゃんの幼なじみで彼女、優ちゃんは従姉妹、まぁ、一人っ子の私からしたら、確かにお兄ちゃんとお姉ちゃんみたいでうれしいけど』

優ちゃん、本名は、北条優介、4月から高二になる私の従姉妹
茶色いさらさらとした髪にあどけない顔つき、180センチの身長でがっしりした体形、私から見ても格好いいと思う
沙羅さん言うには意外とチャラく見えて硬派なんだとか小さい時から続けている空手をまだやっていて去年は新人戦で優勝したほど、隠れたファンが居るらしい…
まだ、私が東北に住んでいたときはなかなか会わなかったのだけど、優ちゃんと同じ東京の方に引っ越してきてからは、会うようになった
優ちゃんも一人っ子で私の事を本当の妹のように可愛がってくれるのは有難いけど、いつも私をからかってばかり、まぁ、別にそれもいいけど
小さい時に【在る事件】があってか、私が越してきた時からは、妙に面倒見がいいと言うか、過保護になっていると言うか……


沙羅さん、本名は秋山沙羅、優ちゃんと同じ4月から高二で、優ちゃんの幼なじみで恋人
私が優ちゃんの所へ遊びに来ていたときよく一緒に遊んでくれた、お姉ちゃんのような存在
165センチの身長でスラッとしていて綺麗な栗色の腰まである長い髪、フワッと香るフローラルの甘い香水の匂い
私でもうっとりしてしまう位の美人な人で優ちゃんの隣に居てもおかしくないほどお似合い
四つ上のお姉さんが一人いて下には居ないから私の事を優ちゃん同様、妹のように可愛がってくれる
でもって沙羅さんも実は優ちゃんと同じく小さい頃から空手をしていて(一見、空手をやっているようには見えない)、新人戦で優勝しているのだ

なんと言うか…二人はどこまでもお似合いで、でもそんな二人が私の自慢でもあるんだけど


「もう、11時過ぎてるわよ?行かなくていいの?」

母が時計を見て言うのに私は、ハッとし、慌てて出掛ける支度をする

『ああっ!もうこんな時間っ!?早く行かないと』

ランチバックと財布やら携帯やらを詰め込んだショルダーバックを首から下げて私は玄関へ向かって靴を履く

「大丈夫だと思うけど、奏気を付けるのよ?」

『大丈夫だよ、それに携帯のGPS機能もあるんだし、それと、お母さんの分もキッチンの棚にあるからお昼に食べてね!』

「分かった、でも本当に気をつけてね、優介くんと沙羅ちゃんに宜しくね」

玄関先で母が手を振り、見送ってくれた

『じゃあ、行ってくるね!』

私は母に手を振り、家を後にしたのだった
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