二章.百物語

□四.猿夢
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私は夢を見ていた。
普段は夢を見てるなんて、夢の中では気付かないのに、その時だけは、夢だと気づいた。


夢の中で、私は薄暗い無人駅にいた。
陰気臭いな〜と思いながら、駅で立っていると、突然アナウンスが流れた。

『まもなく電車が参ります。その電車に乗ると、恐い目に会いますよ〜』

男の声で、意味不明な内容だった。
すると、遊園地にあるような猿の電車がやってきた。
本能的に、【乗ってはいけない】と感じたのだが、
【私の夢は、どれほどの恐怖心を与えてくれるのだろう?】
という好奇心に負けて乗ってしまった。

電車内には、顔色の悪い男女が座っていた。
私は三番目の席に座り、
辺りには生ぬるい空気が流れていた。
ここは本当に、夢の中なのかと思うほど、臨場感があった。
『出発します〜』
そうアナウンスが流れた後、電車はゆっくりと動き出した。

これから何が起こるんだろう、そう期待と不安が入り混じっていた。
しばらくすると、トンネルに入り、紫色の光が薄暗く電車内を照らした。

(思い出した。これ、小さかった頃によく乗った奴だ…。
でも、なんで? 全然恐くないし)

そう思った瞬間、またあの男の声でアナウンスが入った。
『次は活けづくり〜、活けづくりです〜』
活けづくり? 魚の?
そう思った次の瞬間、後ろから絶叫が響いた……
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