桔梗と龍
□快晴の空
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太陽が南の空に差し掛かる頃、私はうーんと伸びをして体を起こす。
半日寝て休んだら体の痛みも大分治まり気持ちもスッキリとした。
「さ、午後から頑張ろう!」
お布団を畳んで私は自分の部屋に戻った。
「お登勢さん、午前中はお休みしてすみませんでした。」
着物に着替えて台所に降りると、昼食の支度が一段落ついた所だった。
手拭いで手を拭いていたお登勢さんが私に駆け寄るとギュッと抱き締められて。
「心配したんやで・・・」
と掠れた声で言われ、私の心に暖かいものが広がっていく。
「いつも心配かけてごめんなさい・・・」
お登勢さんは「無事でなりよりや」と、さらに抱き締める力を強くする。
「今日は一日休んでていいんやで?」
「いえ、大丈夫です。お仕事させてください」
お登勢さんは私から体を離すと潤む目で頭を撫でる。
「千春ちゃん!」
善を運び終えたおシゲさんが台所に戻ってくると、私めがけて突進する勢いで抱き付かれる。
「本当に手のかかる妹や!」
「お、おシゲさん・・・」
「ケガは?痛い所は?」
私の体をペタペタと触りながらおシゲさんが尋ねる。
「大丈夫です。どこも痛くないですよ」
そう言えば安堵した顔になって。
「心配したんだから」とまたきつく抱き締められる。