桔梗と龍
□折れない心
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「鈴さん、遅いなぁ・・・」
待ち合わせの甘味屋に着いてもうかなり時間がたった気がする。
邪魔にならないように立っていたけどお店の人が私を覚えていて、お登勢さんの所の娘さんならとお茶を出してくれた。
そのお茶を少しずつ飲みながら待っていたけど、一向に現れない鈴さんに私は不安になる。
何かあったのかな?
それとも・・・。
すっぽかされた?
私は膝の上でギュッと拳を握る。
まさか、ね・・・。そんなひどい事、しないよね?
「娘さん」
お店の人が心配そうに話しかけてくれた。
「すみません。いつまでも居座ってしまって・・・」
私が深々と頭を下げて謝ると、
「それはいいんや。ただお連れさんがなかなか来んのは心配やなぁ」
「はい・・・」
これ以上ここにいても仕方ない・・・そう思って私は立ち上がった。