群青の空に舞う蝶

□「騒動」
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数回しか行き来したことない道でも、私の足は迷わず寺田屋に向かって走っていた。

あの角を曲がれば寺田屋が見える…というところで後ろから腕を掴まれ引っ張られる。

「お前…足速すぎだぞ」

少し息を乱した晋作さんが苦笑いを浮かべると、そっと角から寺田屋の様子を伺った。

私も同じように様子を伺うと、そこには沖田さんと新撰組の隊士の姿があった。

「やはり…。よし、こっちだ」

小さく舌打ちをした晋作さんは私の手首を掴んで走り出す。

「晋作さんっ、どこに行くんですか!?」

「正面はもう駄目だ。きっと坂本らはこっちから出てくる」

顔だけ振り返ってそう言った晋作さんに頷くと寺田屋の裏手側に向かうと

「あっ…!」

まさにその裏手側から木戸が開き慎ちゃんが飛び出してきた。

続いて武市さんと龍馬さんが出てきたけど、龍馬さんは武市さんに支えられ手は真っ赤に染まっている。

「龍馬さんっ」

私が駆け寄ると龍馬さん達は驚いた顔をした。
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