群青の空に舞う蝶
□揺れる想い
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馬鹿だ。
惨めだ。
ボロボロ泣きながら私は草履をひっかけて玄関を飛び出すと、門の所で門番さんが何かを叫んでいたけどそのまま走り抜ける。
ぐちゃぐちゃな気持ちにイライラして、晋作さんに当たってしまった。
(最悪だよ)
自分でもどうしていいのかわからない気持ちにムシャクシャして心が引き裂かれそう。
がむしゃらに走っているとドンッと誰かにぶつかってしまった。
「…っ、ごっ、ごめんなさ「千夏!?」
ぶつかった相手は龍馬さんで、私の顔を見ると目を見開きすぐに肩を抱いて歩き出した。
「りょ、龍馬さ「ええから。これで押さえとき」
そう言うと手拭いを持たせてくれて。
私が人とぶつからないように肩を抱いてゆっくり歩いてくれる龍馬さんの優しさに、また涙が溢れ出た…。
土手まで歩いてくると、龍馬さんは私を石の上に座らせてくれた。
しばらく無言でサラサラと流れる川と、子どもが背丈以上ある草藪の中で追いかけっこをしているのを見つめていると心も少し落ち着いてきて。
「龍馬さん、ごめんなさい」
ポツリと言うと龍馬さんは驚いた顔をして
「なぜおまんが謝る。謝ることなど何も無いぜよ」
と私の頭をポンポンと撫でる。
「話とうないなら無理には聞かん」
龍馬さんの優しい眼差しにまた瞳が潤み出し、私は唇を噛んで俯く。
「一体何があったんじゃ?」
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先刻まで花が咲いたように笑っていた娘がハラハラと涙を流して突然現れた。
……高杉さんと何かあったんだろうか。