短編集二巻目
□贈り物は誰の手に
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>遅れたっす!!
>おまんが遅刻なんて珍しいのう。
>何かあったのですか?
>いえ、出掛け前に姉さんが女将と何やら話し込んでてつい小耳に…
>立ち聞きとは中岡君らしくない。
>あっ、いえ…その、つい……。
>そんなのいいから早く話せ!!
>はいっす。何でも来る二月の十四日は女子にとって特別な日らしいっス。
>特別?
>その日は何かあったか?
>いえ…。特に何もないはずです。
>「ばれんたいんでー」と言う日で、女子が好きな男に何やら贈り物をする日らしいっス。
>おい小五郎。
>なんだい?
>十四日は何も予定を入れるな。
>何故?
>決まってるだろ!!あいつが俺を訪ねてきた時に不在だったら話にならんだろ。
>高杉さん、ちくと待つぜよ。…慎太。
>はい?
>ワシは十四日は寺田屋から出んぞ。
>なっ、十四日は乾さんとの会合っスよ!?
>そんなもん無しじゃ無し!!娘がワシを探して不在とわかったら悲しがってしまうがじゃ。
>二人のこの自信はどこから来るのか…。
>………。
>中岡君。
>うわっ、大久保さん!いたっスか!!
>十四日は薩摩藩に小娘を連れてこい。
>何故だ!!
>私に会いに来ようとして迷われては面倒が増えるからな。
>!!
>ここにも自信満々の人がいたね…。
>娘は俺に会いに来る!!
>いーや、娘はワシに用があるはずじゃ!!
>全くお前達は揃いも揃って現を抜かしおって。おい、中岡君。小娘に菓子を用意しておいてやると言え。
>あっ、食いもんで気を引こうなんてずるいぞっ!!
>そうじゃそうじゃ!!
>あ、ははは、は……。
>自分が貰えるというあの確固たる自信は見習いたいね。
>……くだらん。
こうして誰が贈り物を貰えるかまだまだ論争が続いたとさ♪ちゃんちゃん♪
2/10 贈り物は誰の手に