群青の空に舞う蝶
□子猫と私
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でも高杉さんと話していると英語も自然と出ちゃうんだよね…。
「えーっと、子猫があの枝から態勢を崩して落ちたら大変だと思って」
「それで両手を上げていたのか」
「はい」
そう答えると高杉さんは目を細めて笑みを浮かべ、私の頭をクシャリと撫でる。
「自力で降りられなくなったか。よし!」
高杉さんは木の幹を掴んだと思ったらスルスルと木を上っていく。
その身のこなしに私は感心しつつ、ハラハラしながら見つめていると桂さんが「どうしたんだい」と声をかけてきた。
事情を話すと桂さんは「なるほどね」と子猫と高杉さんを見上げながら言う。
「あっ、高杉さん!そんなに枝を揺らしたら子猫が驚いちゃいますよ!」
子猫がいる枝まで登った高杉さんはユサユサと枝を揺らすと、子猫は驚いてさらに木の先端に移動してしまった。
「怖がるな!こっちに来い!」
高杉さんが子猫に向かって手を伸ばしながら言うと、さらに子猫は枝の先端に移動する。
細い枝の上で態勢を取る子猫は今にも落ちそうだ。
「晋作。枝を切り落としたらどうだ」
桂さんが言うと、高杉さんはパァッと笑顔になりヒラリと枝から飛び降りてくる。
「さすが小五郎だな!その手があったか!」
と高杉さんが言うと腰の刀の柄に手をかける。
「千夏さん、危ないから下がってましょう」
桂さんがそっと私の肩を掴んで下がらせる。
「…あの刀は本物なんですか?」
桂さんに小声で尋ねるとはニコリと微笑み
「勿論です」
と答えてくれた瞬間。
バサッと音がして急いで視線を高杉さんに戻すと、木の枝を切り落とした高杉さんが子猫を受け止める態勢をとっていた。
「すごい…」
枝の切り端を見ると斜めにスッパリ切れていて。
「晋作もああ見えて伊達に奇兵隊の総監をしているわけじゃないんですよ」
と桂さんが苦笑いを浮かべながら言った。