め-る★まがじん
□.。゚.幸せの在処-アリカ-.゚。.
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恋した相手は
顔も名前も知らない
だけどきっと見つけてみせる
.。゚.幸せの在処-アリカ-.゚。.
「アスラン様」
屋敷の廊下
ニッコリと微笑みながら侍女に渡されたのは桜色の文…
それを見て無意識に顔が綻ぶ彼
「嬉しそうですね」
「あぁ」
侍女と言うよりも妹に近い感じで話すと
彼女は柔らかく微笑みながら
そうですかと言い
彼はそんな彼女に笑顔で返していた
「では、僕はこれで」
ペコリとお辞儀をすると背を向けて長い廊下を歩いていく彼女の着物を掴むと驚いたのか彼女は軽く瞬きを繰り返し
「キラ」
「何でしょうかアスラン様?」
「敬語…気分が悪いんだけど」
たんに"敬語が嫌"と言っているのだがキラは軽く首を振って
それを否定し
「僕は侍女ですから」
失礼しますと言い
背を向けて歩いて行くキラに
アスランは血が滲む程
唇を噛み締め、握り締めていた拳は襖へと穴を開けていた
「…別にあんな顔させたいわけじゃないのに」
"侍女"と言った時に彼女が浮かべた酷く悲しそうな顔を思い出し顔を歪めるアスラン
(…まるで貴族に恋してるみたいだな…)
そう思うと
どこか胸の奥が痛んだが
その原因が何かは今のアスランにはわかりもしなかった
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