「姜伯約的五十音」
【い】 2件
【い:「癒す者」 (い)】
“「…出来ることなら、
許されるのなら、
私が、
貴女を癒し、満たしたい…。」”
…そう告げた私に、
貴女は、静かに、微笑んだ。
やはり、哀しげなその表情。
…胸が、痛む。
“「…そんな顔をしないで…。」”
…貴女こそ、
そんな顔をしないで下さい…。
…そんな、顔、させたくないんです…。
“「…私は、癒されている…」”
…哀しい微笑で、
……哀しい声音で、
貴女は、言葉を紡ぐ…。
“「…もう、充分なの…」”
“「…これ以上は、駄目なの…」”
“「…私は、許されてはいけないの…」”
…きつく、
きつく、
抱き締めた腕の中、
貴女は哀しき音を、紡ぎ続ける…。
“「それでもっ…」”
“「…それでも私は、
貴女を癒し、満たす者でありたい…。」”
哀音を遮り、伝えた心…。
…小さく、小さく、
震えた身体…。
…私の肩が、濡れた…。
2007/12/26
【い:(癒されるべきは、貴方…) (い)】
“「…出来ることなら、
許されるのなら、
私が、
貴女を癒し、満たしたい…。」”
…そう告げる貴方に、
私は、静かに、微笑しかなく。
哀しく濁る、その宝玉の瞳…。
…胸が、痛む。
“「…そんな顔をしないで…。」”
…貴方は、…貴方が、
そんな顔をする必要なんてない…。
…そんな顔、させたくないの…。
“「…私は、癒されている…」”
…哀しい瞳、
……哀しい声音、
貴方には必要ない…。させたくないのに…。
貴方を哀しませるだけの、私…。
“「…もう、充分なの…」”
“「…これ以上は、駄目なの…」”
“「…私は、許されてはいけないの…」”
…きつく、
きつく、
抱き締められながら、
私はただ、心からの言葉を紡ぐ…。
“「それでもっ…」”
“「…それでも私は、
貴女を癒し、満たす者でありたい…。」”
遮られ、伝わってくる、心…。
…小さく、小さく、
震えた身体…。
…忘れたはずの“何か”で、
私の頬と、貴方の肩が、濡れた…。
2008/5/3
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