05/02の日記

17:45
忘れな草
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綱吉が転生した琥珀と恭弥が再び出会ってから。
恭弥を正式に国王琥珀の婚約者として披露する立式パーティが催されることになり、雲雀侯爵家では慌しく準備が進んでいた。

−−もちろん、迎える側の国王擁する城もである。

「おうおう、準備進んでるかー」

「見たら分かるだろさっさと目の前から消えろ屑」

「実の父親なのに態度が冷たい!?」

琥珀が思わず殺気立ってしまった相手は琥珀の実の父親、家光だ。
琥珀の視線は冷ややかどころか冷凍ビームもかくやな温度である。

「チッ……視線だけで殺せないかな」

「物凄い物騒な独り言をありがとう!父さんはブロークンハート寸前だ!!」

「どこがだよピンピンしてんだろデカイ図体しといて」

おいおい泣くフリをする家光の方を見ることなく琥珀は手元にある書類を捌いていく。パーティの日どりが決まったので、それまでに前倒しで仕事を終わらせる為に琥珀の執務机には書類がうず高く積まれている。心配する心は皆無だ。

「……で?用件は何ですかオトウサマ」

「今の言葉で父さんのガラスのハートは粉々だ」

「いいからさっさと言えよ。母さん帰って来てたから後で会いに行けば」

空気読まないちゃらんぽらん親父である家光とて、用もないのにこんな忙しい時に息子の邪魔をしに来ることはない。それが分かっているからこそ琥珀も睨みつけても部屋から追い出したりはしないのだ。どうせ母親の奈々に会えばどんなに心が擦り潰れてようが一瞬で回復するのだから、用件だけ聞いてさっさと部屋から出ていってもらうに限る。

「うん……まぁ、そうだな。用件というか……ただ単に俺が忘れてたっていうか」

「で?」

「あの……な?その……父さんが言い忘れてたのが悪いんだが……」

いつもなら奈々がいることを知ると用件もまともに言わず出て行く家光にしては珍しく歯切れが悪い。
イライラしている琥珀は書類の上を走らせていたペンを止めてギロッと睨んだ。

「で?」

「あの……その、な?怒るなよ?父さんもその時お前が話取り付けてるとは知らなかったんだからな」

「用件は?」

「…………実は、隣りの和の国のお嬢さんをお前の婚約者にしててな」

バギリッ

「………………………………は?」

「ペンのインク顔に飛び散ってるぞ琥珀ー、ついでに恐ろしい形相になってるからな。落ち着けって」

「落ち着いていられるかこのクソ親父いいいいいいいい!!!」

琥珀の絶叫後、家光の断末魔が城中に響き渡った。



アネモネの続編。
ここの家光は春彦と同レベル。変態でないだけ。
隣国和の国の国王に娘が産まれたということで祝いの席に招かれていた家光。めでたいことだからと祝いの席でも酒が振る舞われていて、へべれけに酔った状態で国王に言質を取られるという。なんの因果か、このタイミングが綱吉が春彦から言質を取った時間と全く同じ。
でもって上記のように突然カミングアウトされた琥珀は怒り爆発。今すぐ取り消せと言っても向こうにバッチリ言質取られてる始末。仕方ないから、と琥珀が直接詫びに和の国へ行き恭弥のことは伏せて事情を説明するが、和の国のお姫様である婚約者は却下。しかし、しつこく食い下がり分かってほしいと頭を下げる琥珀にそこまで言うのなら、私が貴方に相応しくないと理解できるまでそちらの城に滞在させてくださいまし。それができないのなら婚約は絶対に破棄しませんわと言いだして渋々了承する。
という、出だし。
あれ、雲雀さんは……?ちゃ、ちゃんと出てきますよ!!
ただ、黒観月の考えてるあらすじのままだとバッドエンド真っしぐら……いっそ、三部作にしちゃう?←
あ、ちなみに和の国の王家は妖狐の血筋。なので和の国の姫様と恭弥は同い年です。

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