01/18の日記

22:50
人でなしの恋
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「今晩は。今日はいい月だな」

面倒な案件が来ていた。書類処理に手馴れていても二日仕事場に缶詰めになって、ストレス発散と気分転換に夜の街に繰り出した。
秩序を乱していた者を見つけて鉄槌を下す。そうしているうちに、いつの間にか街の郊外に出て廃墟の近くにいた。うず高く積み上がった人間を一度ちらと見て、部下にでも始末させようと背を向けた時、声が掛かった。

振り返る。人の山と廃墟しかない。

「こっちだ、こっち」

いた。二階建ての廃墟の屋上、そこに満月に重なるようにして何者かが座っていた。逆光で顔は見えない。
そっと、気取られないように得物を手に忍ばせる。声を掛けられるまで気づかない程気配を殺すのが上手いということは、相手は相当の手練れ。油断すると命取りになる。
仕事上、刺客が送られることは多い。半死半生の屍の山には今日襲ってきた刺客も数人混じっている。後で拷問して情報を吐かせてから殺すつもりだった。
廃墟に座っている者もその類いなのだろう。黒いシルエットがポカリと大きな月に浮かび上がっていた。

「さっきは見事だった。思わず拍手を送ったよ」

もちろん、心の中でだけれど。と何者かは言った。
そして、何かに気付いたようで、ああ、と手を振った。

「俺は何もしない。ほら、何も持っていないだろう。だからその手の得物を仕舞ってくれないか」

「信用できると思う?」

淡々と返しながら、気取られないようにと気をつけていたのにあっさり看破され、内心動揺が広がる。今度こそは相手に悟られないように感情を内側に押し込めた。ポーカーフェイスは得意だ。

「ううむ……それもそうだな。なら……」

黒いシルエットが立ち上がったと思うとひょい、と飛び降りた。軽く埃を払って近付いてきた相手は数步離れた場所で両手を広げ立ち止まった。

「これで良いだろう。何ならボディチェックもしてくれて構わない」

逆光で見えなかった相手の顔が、今ようやくはっきりと見えた。
整った顔立ちだった。髪は月明かりに照らされ輪郭が淡く金に光っていた。

「……そうやっても、却って警戒するだろう。普通」

「ぐ……ならどうしたら警戒を解いてくれるんだ?俺はお前を殺しにきたのではないから、警戒されたままでは困る」

「知らないよ、君もどうせ刺客何だろう。だったらさっさと自分の得物を出したら?出さないなら一方的に攻撃するけど」

「いやいやだから刺客ではないと言って……」

最後まで言わせずに銃を撃った。初撃を躱した体勢を立て直される前に手錠を放つ。

「仕方ないな……」

そう言った相手の言葉を最後に視界が反転した。
何をされたのか分からなかった。ただ、負けたことだけは理解できた。

「話を聞いてくれる気にはなったか?」

「…………っ」

ギリ、と唇を噛み締めた。こうも簡単に目の前の男にあしらわれたことが悔しかった。
逆さに覗き込む金の瞳を睨む。
それが、間違いだった。

妖しく、瞳が揺らめいた。

「俺は刺客ではない。ただ、お前の戦う姿に惚れた」

−−金の瞳は魔の瞳。人ならぬ者の持つ瞳。

「だがお前の戦い方はまだ未熟だ。だから俺が鍛えようと思ってな。俺は戦うお前の姿を間近で見られるし、お前はまた強くなれる。一石二鳥だろう?」

−−魅入られてはいけない。喰われてしまうから。

−−瞳を見つめてはいけない。捕えられてしまうから。

「俺はジョット。魔の者だ。だがお前は喰らわない。喰らわないから俺の傍にいてくれないか」

きっと声に振り向いた時から、もう遅かったのだ。
悔しいという思いは目が合った途端に散り散りになった。
人でなしの金の瞳から目を逸らせなかった。

「お前が欲しい、アラウディ」




×パラレル。

ジョットが魔物なパラレル。
ジョアラ。

あれ、本当はボンゴレボスではない殺し屋のジョット様とアラウディさんの話だったはずなのに……いつの間に魔物にっ!
いやでも以外と魔物とかもいい。
という事でできたネタ。

軽い人物設定。

ジョット
魔物。戦ってるアラウディに惚れて熱烈アタック。実は魔王だったりする。
アラウディを魔界に連れていって伴侶として傍においておきたいと思っている。

アラウディ
人間。ジョットに惚れられてアタックされている人。ジョットに魅入られて迷惑そうにしている。
本当は密かにジョットに心奪われているが、滅多にその素振りをみせない。


ジョットがどんな魔物なのか詳しいことは決めてないです。でもどんな魔物でもきっとカッコいいに違いない!だってジョット様だから!!
アラウディさんがツンデレだったらいいなという黒観月の欲望が詰まってます。



☆コメント☆
[幸助] 04-09 22:04 削除
ジョアラいいですね!

[幸助] 04-09 22:05 削除
ジョアラいいですね!

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