書斎

□紅に染めて
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気がついたら声に出していた。そのまま思ったことを次々言ってみる。

こいつは寝てるし起きる気配もない。独り言だ。

そんなことを言いながらこいつの寝顔を見ているとふいに思ってしまった。

キス、してみたい・・・。

やっぱりこいつは眠っていて、だから・・・。

顔をゆっくり近づけた。その時、気付いてしまった。

顔がこころなしか・・・。いや、大分赤くなっているこいつに。

・・・。

嘘だろ!!マジかよ。どっからだ?どっからなんだ?
独り言じゃなくなってんじゃん。独り言だと思ってたから・・・。

教室でるか?
いや、聞かれてるなら明日からめっちゃ気まずい感じじゃん。

俺も聞かれてたの分かってて普通にできねぇよ!!そこまで器用じゃねぇし。

どうしたらいいんだよ。自業自得?
大体気付かないこいつもこいつなんだよ。

ああっ、もう!!

俺はデコピンしてやった。そいつは額をさすりながら起き上がる。

「いつまで寝てる振りしてるつもりなんだよ」

「気付いてたの?」

「分かるっての」

正確には『分かった』だけど、絶対言わねぇ。

あいつはまだボーとしている。

思い切って言ってみた。どうせ、今までみたいにいられない。

「あそこまで聞いてて何も言わないのかよ」

どこから聞かれてたのかは微妙だけど、顔赤くなってたし多分・・・。

あいつは一瞬不思議そうな顔をして、顔を今よりもっと赤くした。

赤い唇から言葉が紡がれる。

「えっと・・・。あの、よ、よろしくお願いします」

予想外の言葉に俺は驚いた。

俺もこいつにつられて赤くなる。

どこもかしこも赤い中で俺は、こいつの赤い唇にキスをした。






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