書斎

□奇跡の雫3
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赤頭巾は1晩たっても来なかった。私が村に帰ると大騒ぎになっていた。

赤頭巾がまだ帰ってきていないらしい。
赤頭巾の母親は「こんなことになるなら1人で行かせるんじゃなかった」と泣き崩れている。

なんてことだ。とっくに帰っていると思ったのに。不安が胸をよぎる。

おばぁさんかどうか分からないままにしておいた俺が甘かった。
森が飛ぶように横をすり抜けていく。

荒くなった息を殺して家を覗いた。数時間前と何も変わっていない。
思わず安堵の溜息がもれた。このまま俺はここにいよう。



眩しい朝日が私を照らした。
赤頭巾に何があった?無事なのか・・・?

ここにいることが最善なのか?それが赤頭巾のためか?
1人で震えて泣いているのなら、見つけてあげる方が救いになるのではないか?

どうしたらいい?私はどうしたら?

万が一、赤頭巾が食べられでもしたらそれは此処を離れた私の責任だ。
同じ過ちを繰り返すつもりか?

でも、それで救われるとは限らない。
嗚呼、神よ。正しい道をお導き下さい。心優しい少女を救うために。

そう祈った時、不意に古木が大きな音をたてて倒れた。道は塞がれた。此処に留まれというように。

これが答えなのだろう。それが少女を救うための答えなら、俺は時が来るまで見張り続けよう。
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